とりあえず、自分のギターを手に入れた。
しかしアンプはまだないので、ミュージシャン気分になりたい時は、コンポにつなげて音を出していた。(やってはいけません)
ここからは、とにかくいろんなバンドのコピーをやった。
愛読書「ロッキンf」には、インディーズバンドのスコアが結構乗っていたし、
初心者用の運指の練習やらコードの押さえ方やらもあって、
あたしはとにかく「ロッキンf」を、毎号ボロボロになるまで活用していた。
この頃の「ジャパニーズインディーズムーヴメント」は凄くて、
「DEAD END」が出したインディーズアルバムが1万枚売れるという、
当時にしてみればまさに異例の快挙が起こった時代でもあった。
ここらで夢中になって聴いていたバンドをズラリと挙げてみよう。(勝手に)
DEAD END、X、REACTION、キラーメイ、PRESENCE、サーベルタイガー(北海道の方。横浜にも同名のバンドあり。XのHIDEが在籍していた)、DOOM、ジュラシックジェイド、GASTUNK、アーグポリス(吉井和哉が在籍)、フラットバッカー、AION、などなど。
挙げてみよう、なんて言っといて、ほとんど思い出せないや。
実はこのあとに来る「バッドボーイズロック」と呼ばれるバンド達の音楽で、自分のやりたいことがみえてきたあたしであるが、
当時は「スラッシュメタル」なる、ドラムはツインペダルでバスドラ連打しまくり、ギター歪みまくり、ベースうなりまくり、ヴォーカル地獄からの使者のようなゲロ吐く寸前の歌声で叫びまくりなジャンルが流行っており、そのおかげで、かなりヘヴィめの音楽を聴いていた。
そのためギターも、コードも簡略コード、速弾きと速刻み、アームでワオンワオン言わせてライトハンド奏法が神であったため、あたしもそういう練習の仕方であった。
鈴本くんと顔を合わせれば、どの曲のイントロが出来るだの、あのソロのあの部分をこんなに速く弾けるだの、そういう話ばかりしていた。
それにしても、アンプが欲しい。
ステレオにつないだって、ちっとも音が歪まない。
歪んでなきゃロックじゃないぜ!これじゃ四畳半フォークみたいだよ!
ステレオから「ペローン」「ペロローン」としか聴こえてこない自分のギターの音色に腹が立ったので、あたしはお小遣いを貯めて、アンプを買うことにした。
それが、フェンダーアンプ。
の、
15Wのやつ。
忘れもしない。
あたしは自転車で楽器屋に行き、フェンダーアンプを買って、入らないのに無理矢理自転車の前カゴに置いて、片手で押えながら家に帰ったのである。
かなりフラフラと危ない運転であったが、あたしの顔はニコニコである。
部屋に入って、早速ギターをアンプに繋げる。もちろんエフェクターなんてないのでダイレクト。
ゲインを10まで上げる。
「ジャジャジャジャジャジャジャジャーン!!!!!」
歪む!ひずむぜ〜!!!
気持ちいい!嗚呼!気持ちいい!!
この日あたしはずーっと「ジャジャジャジャジャジャジャーン!!」
を繰り返し、
「あんたうるさいで!はよ寝!」
と怒られつつも、夜遅くまでジャジャジャジャとやっていたのである。
「もう、バンド組むしかないな!」
小日向ヒカゲ
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