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>> 毎月10日・25日頃更新

<筆者プロフィール>

小日向 ヒカゲ(こひなた ひかげ)
1971年1月19日夕刻誕生
三重県出身→大阪育ち→三重県更に育ち→愛知県名古屋市仕込み期→東京都まだ仕込み期  3大都市バイリンガルB型

:興味
昭和 エログロナンセンス チョコレート

:ギターを始めるキッカケとなった人物
布袋寅泰 ジェイル大橋

:学校のつまらなさを誤摩化してくれた人物
筒井康隆 星新一 三島由紀夫 ラブクラフト 江戸川乱歩

成長期に読んだ漫画
ブラックジャック 北斗の拳 スケバン刑事 三国志 まことちゃん Dr.スランプ ハレンチ学園

WEB http://www.geocities.jp/betecha/

   


第16回 「一本気心中」
 

 

そういや、高校生になってからの部活、である。

「コヒナタさ、高校行ったらバスケ部入ろうよ。バスケ部」

中学校を卒業する直前に、友人から誘われた。

バスケ部。いいかもしんない。

中学校では、どこの部も上下関係が厳しすぎた。
学校で先輩を見かけたら、先輩の姿が見えなくなるまで
「先輩おはようございまーす!先輩おはようございまーす!」
と、コメつきバッタのように90度以上のおじぎをしながら、挨拶をし続けなければならなかった。

目が悪いあたしは、
「こいつ、全然挨拶しない」
と言いがかりをつけられた挙句、掃除道具入れに閉じ込められ、大勢の先輩方に四方八方から蹴られ、道具入れごと倒されたと思ったらまた蹴られ、というリンチ的なものを受けたことがある。正直、ヤクザの世界よりも厳しいオキテである。(知らんけど)

しかし、高校ともなれば違う。
部活、といっても、中学校ほど青春をかけている感じもせず、比較的ユルそうである。

ブラスバンド部への入部も勿論考えた。
しかし、ノーモア。ノーモアバリトン!(愛着ありましたけど) 
あんなにテナーサックスを熱望したにも関わらず、あたしは結局バリトンをかつぎ続けるはめになったわけで、高校生になったからといって、その呪縛から、そうやすやすと逃れられる気がしなかった。自分の運のなさは自分が一番よく知っている。

「バスケ部か」

いいかもしれん。そう思った。
なので、バスケ部に入部した。

1週間でやめた。



正直しんどい。
堂本剛でなくとも、おもわずそう漏らしてしまうほどに、文科系一本槍のあたしには、運動部はキツすぎた。持久力はブラスバンド部で培っていたが、瞬発力がない。協調性がない。集中力がない。声が出せない。帰りたい。

バスケ部にてランニングをしている時に、校舎の裏庭でサックスを吹いている学生を見ながら、
「あたしゃーこれからアクティヴに生きるのだ!ちんたらサックスなんか吹いてられねーぜ!」
なんて思っていたのに。

やっぱ、恋しかったんだね。

人よりちょっと遅れて、ブラスバンド部の扉を叩くことになった。

「えー、コヒナタさんは、中学生の時もブラスバンド部だったんだってね。パートは?パートは何をやっていたの?」

ギク!

どうだろう。ここであたしがバカ正直に
「バリトンサックスです!」
と答えたとして、果たしてあたしに未来はあるか?
ないぞ!きっとないぞ!あんたまたバリトンだぞ!やめとけ!嘘をつくんだ!

「えーっと、あの、その、サ、サックスを」

「何サックス?」
「えーっと、あの、その、バ。えー。いやその、ア。アルトをちょっとですけど本当は、テ。テナーを・・・」

「あ、テナーはね、1人いるからなぁ。アルトももう入っちゃったしね、新入生が。あとはバリトンが残ってるけど、バリトンなんかどう?」
「バ、バリトン・・・」
「バリトン」
「は、はぁ」
「どう?」
「やります・・・」

もう観念した。
観念しかできないだろう。ここまできたら。


  

今あたしが死んだら、間違いなくあたしの仏の上に乗るのはバリトンサックスだ。
「この子はバリトンサックスが好きな子でした」
なんつって、オカンが涙を拭き拭き、そう言うのだ。
「コヒナタさんは、いつ見てもバリトンサックスを抱えていました」
友人が声を震わせて、そう言うのだ。
「俺とデートしている時も、いつもバリトンのことを語っていました」
恋人が遠い目をして、そう言うのだ。
勿論、出棺の時は、車のクラクションではなく、バリトンの音だ。

「ぼええええええええええええええええ!!!!!!」

そんな人生も、悪くない。


「えー、あのぅ、今日からバリトンになりました、コヒナタです」
テナーサックス担当の先輩男子に挨拶をした。

「へーへーへー。よろしくー」

眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな顔に全く合わない軽妙な口調で、挨拶を返してくれたその先輩は、
実はバリバリの(って古いな)ギタリストであった。




・・・つづく



小日向ヒカゲ


 
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