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>> 毎月10日・25日頃更新

<筆者プロフィール>

小日向 ヒカゲ(こひなた ひかげ)
1971年1月19日夕刻誕生
三重県出身→大阪育ち→三重県更に育ち→愛知県名古屋市仕込み期→東京都まだ仕込み期  3大都市バイリンガルB型

:興味
昭和 エログロナンセンス チョコレート

:ギターを始めるキッカケとなった人物
布袋寅泰 ジェイル大橋

:学校のつまらなさを誤摩化してくれた人物
筒井康隆 星新一 三島由紀夫 ラブクラフト 江戸川乱歩

成長期に読んだ漫画
ブラックジャック 北斗の拳 スケバン刑事 三国志 まことちゃん Dr.スランプ ハレンチ学園

WEB http://www.geocities.jp/betecha/

   

 
>>BACK NUMBER
Vol.1 イントロダクション
Vol.2  「無縁家族」
Vol.3  「ロック漫才師」
Vol.4 ちょっとここらでコーヒーブレイク
其の壱 「厳しすぎるは田舎の校則」
Vol.5  「洗礼」
Vol.6  「御臨終」
Vol.7  「体育館前リサイタル
Vol.8 ちょっとここらでコーヒーブレイク 
其の弐 「アイドル黄金時代」
Vol.9  「ドラムライン」
Vol.10 「肺活量マキシマム 」
Vol.11 「 麒麟です 」
ちょっとここらでコーヒーブレイク 
その参 「 塊の恐怖 」
Vol.12 「呪音」

第13回 「 浮かれちまったアホ面に 」
 



 びっくりするほどに重い。そしてデカい。音もデカい。
それがバリトンサックス。クラリネットやサックスなどの縦型の楽器は、その重さを右手親指で支えるものなのだが、バリトンサックスは、その右手親指+首。首にストラップを掛け、その先を本体に引っ掛け、右手親指で支えて持つ。

「首にストラップかけて引っ張り合いしたら、負ける気がしねえ」

 そんな強さを、バリトンサックスはくれた。嬉しくない。

 しかし、近づけた。テナーサックスに。ただちょっとデカいだけやん?遠くから見たらテナーに見えないこともない(無理)。

 とにかく。バスクラが「ぼー」ならバリトンは「ばえー」という音がする。気持ちがいい。なんだかソウルフル。とにかく、存在感のある音が気に入った。

 しかしあたしは嫌な奴だった。逞しくて大きくて、嘘のつけないデカい声を出す、素敵な男を手に入れておきながら、スマートで色気のある男に惹かれ続けていたのだ。

「旦那は旦那よ」
 そういう奥様方の気持ちがわかる中学生。

 なので、オカンにねだることにした。

 だが、ゲームを買ってもらうのとは、訳が違う。セルマーのような一流ブランドは当時40万円以上もし、とても気軽に「買ってくれ」と言えるシロモノではなかった。

小学生の頃、丸まったり伸びたりガラスに張り付いたりする緑色の玩具「アメーバ」が流行った時、オカンに
「50円やから買ってや」
 と言って、オカンを連れておもちゃ屋に行くと、それは50円ではなく、500円だった。桁を間違えて覚えていたのだ。
しかしオカン、
「アンタこれ、500円やん。50円ちゃうやん。50円て言うから買おかと思ったのに500円もするんやったら買わへんで」
 と、おもちゃ屋でめちゃくちゃ怒られたことがあった。そのあと、己の記憶力の無さを泣いて詫び、しぶしぶ買ってもらえたのだが、さてはて、そんなオカンに、40万円です。買ってください。などと言っては、戸籍をはずされてしまいかねない。だからと言って中途半端なブランドを買うのも嫌だ。じゃぁ、買わなければいいのだが、それも嫌だ。だったら、無いよりはまし。いっそのこと激安の通販で買ってしまおう!という結論に達したのだ。腕があれば楽器の良し悪しなんて、などと、たかだか中学生が鼻を垂らして思ったのである。

あたしは意を決し、台所で夕飯の支度をしているオカンに背後から近づき、雑誌に掲載されているテナーサックスを指差し、
「すみません、これが欲しいのですが」と、お伺いをたてたところ、一言、

「アカン。高い」

と言われてしまった。さんざんごねたが、オカンは淡々ときゅうりを切っている。まるで相手にしていない。無理なのか。そういえば、オトンも、ゴルフクラブのカタログを眺めるだけで、一向に手に入れていない。

 ウームムムム。

 それではこのアルトならどうか。テナーよりは3万ほど安い。
まだねばる気?と言うオカンに、あたしは言った。

「そしたらこっちの小さい方は?本当はこっちのテナーサックスってやつがええんやけど、無理やんか。そしたらこっちのやったらちょっと安いで。練習したいなぁ。練習せなアカンしなぁ。別にアルトでええかなぁ。テナーは無理やもんなぁ。」

  高いセットを紹介してから安い単品を売る悪徳商法の如く、あたしはターゲットをアルトサックスに絞り、そこからまた怒涛の交渉に入る。

「アンタは欲しいものがあると、手に入れるまでしつこい」
 と、姉に太鼓判を押されているあたしである。オカンもうんざりしたのか、悪徳商法が効いたのか、
「それでええの?もう、買ったらええやん。それにし」

 と観念してくれたのである。

 そしてアルトサックスが届いた。



 ケースを開ける。

「おおおおおおお!」

まぶしいシルバー。チェッカーズの尚之もシルバーのテナーだ。同じシルバー同士。ただあたしのアルトは「シルバー色」なだけで、本物のシルバーではないのだが。

マウスピースに、かねてから用意してあったリードを付ける。そしてマウスピースをネックに付け、吹いてみる。

ぽー。

悪くない。悪くない気がする。よし。

ネックを本体に付ける。吹いてみる。

 ドシラソファミレドー。

 悪くない。悪くない気がする。安い音、そう言ってしまえばそんな気もする。しかし、吹いている人間が安いのだから仕方ない。

 あたしは嬉しくなって、改めてそのシルバーボディを眺めた。

 あれ?

 キーが、足らない。

 なんと、そのアルトサックスには、本来あるべきキーが、2箇所もないのである。

 おいおい、「クラリネットをこわしちゃった」みたく、ドとレとミの音が出な〜い、どころか、

 ソ♯とシ(低音)が、出せねえ!




 夜になったら星を見よう。そうしよう。 







つづく


小日向ヒカゲ



小日向さんのHP「蜘蛛ノ巣破壊屋敷」にて、ひかげさんのベトナムレポート公開中!!

ぜひ見よう!⇒「外堀修行」コーナーにて

http://www.geocities.jp/betecha/





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