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>>2006-7-22 START!!

一流大学→一流企業→AV男優→プー太郎…そして47カ国回った旅…そんな雑魚ゾンビの生き様。
女にモテず、仕事もロクにできない男たちへ、馬鹿に自由に生きるすばらしさを伝えたい!!

雑魚ゾンビ(ザコゾンビ)〜プロフィール〜


http://www.zakozombie.com/

文筆名:高崎ケン(又井健太)

1979年生まれ。慶応義塾大学卒業。一流企業に就職するも、10ヶ月でドロップアウト。

以後、テレビAD、バーテンダー、AV男優、派遣社員など、30種近くの仕事を経験。暇をもてあまし、人間モルモットで稼いだ金で訪れた国は47カ国。現在、週休三日のサラリーマンをしながら、妄想の日々。

著書に、「ザ・ドロップアウト 偏差値70からの転落」(アルファポリス刊)、ホスト裏物語(彩図社刊)、アムステルダム裏の歩き方(彩図社刊)などがある。

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第3回角川春樹小説賞受賞作。


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北方謙三、今野敏両選考委員絶賛――第3回角川春樹小説賞受賞作。 様々な人間とその営みを書き分けられる筆力を高く評価――北方謙三(選評より) 下町の夕暮れどきにビールを飲んでいるような心地よさ――今野敏(選評より)

>>BACK NUMBER
第1回  〜2002年新卒の夏〜
第2回 〜540円の自分探し〜
第3回 〜ピンクな時代〜
第4回 〜酒池肉林の戯れ
本日は休講 〜なると君の憂鬱〜
第5回 〜自分探しの代償〜
第6回 〜ハケンな時代〜
第7回 〜鬱への扉〜
第8回 〜第二の故郷〜
第9回 〜 ゲストハウス・ライフ@〜
第10回 〜 ゲストハウス・ライフA〜
第11回 〜 ゲストハウス・ライフB〜

>>>  
さらばガリ勉の日々よ 第12回

LONDON DAYS@

〜地獄のビッグ・ベン〜


「おまえは、どれくらいロンドンにいるのだ?目的は?」
ヒースロー空港に降り立ったボクを入国審査官は待ち受けていた。
黒人のネエチャンは、ボクの雪駄に甚平という衣装をマジマジと
見つめてきた。

「ワーホリだよ。」
そう言ってボクは、印籠のようにパスポートに張られた用紙を掲げる。
このワーキングホリデービザを取るのは8倍の難関とのことだが、
クジ引きで決まるらしい。それだけ、ロンドンを訪れたい若者が
多いというのか。


ケミカルブラザーズ、エイフェックス・ツイン、シューティング・フィッシュ、
ヒューマン・トラフィック、ゴシック、SM、ギネスビール。
興味深いものは、何でもこの街にあった。
この街では、なんでもできそうな気がする。

入国審査を終えたボクは、市内へと向かうTUBUに乗る。
大江戸線並みに小さな車両だったが、満員電車のような混雑感は
まるでない。

「Next station is Piccadilly circus」

ロンドンを訪れる者たちは、街の中心、ピカデリー・サーカスを訪れる。
外へと続く、長いエスカレーターのステップに足をかけ、20kgはある
バックパックをズシリと降ろす。エスカレーターは、巨大な黒ムカデのように
長く続いている。駅構内に書かれたグラフィティや、ポップなポスター。
キオスクみたいな店には、チョコバーが並んであるし、電話ボックスは赤い。

エスカレーターで街の空気に近づくにつれ、ボクのカラダを言いようも無い
高揚感が伝ってきた。日本との時差は九時間。こっちは昼下がりだが、
日本の知人は、今頃、終電ラッシュに追われているのだろうか。


(へへへ。ざまあみろ)

やがてエスカレーターは終点を向かえ、ボクは、アームストロング船長
のように、重厚な石畳に足をつける。霧の街ロンドンを想像していたが、
青空はどこまでも澄み切っており、白光がまぶしい。
広場の中心には巨大な像があり、その周りで観光客や待ち合わせの人々が、
ショッキング・ピンクのアイスクリームを頬張っている。
サングラスをかけ、原色のウェアを着たメッセンジャーが石造りの街を
駆け抜けていく。

紛れも無い、そこはロンドンだった。




***



ピカデリー・サーカスにほど近い、ジャパン・センターを訪れる。
ここに行けば、安宿や仕事の情報が見つかると聞いていた。

「ここのご飯はおいしいのかい?」


センターの近くで、日本人女性の前に現地のおっさんが立ちはだかっていた。
どうやら、ナンパをしているようだ。女の子は満更でもなさそうに、その
おっさんに付いていく。

(フーン。おあついねえ)

ボクは、くだらないモノを見てしまったように目を伏せ、そのままセンターの
扉を開ける。1Fは日本食屋、2Fにはルームシェアやアルバイトの情報が掲示板に
が張り出されており、日本人の人だかりができている。
パッと見やると、家賃相場は、家具付きのルーム・シェアで80000円〜といった
ところだ。日本食屋の平均時給は、大体1000円くらいといったところか。

(物価たけえな)

そう思い、とりあえずの宿を探すために、案内所のカウンターに目をやるが、
そこには虚しくもCLOSEの文字がある。仕方が無いので、1Fの日本人ウェイトレス
に、安くていい宿はないか尋ねてみる。東京からの12時間のフライトでは、
地球の歩き方を遂に1ページも読まずに、爆睡していた。観光地だし、どうにか
なるだろう。旅慣れていると自負していたボクは完全にこの街を舐めきっていた。

「ヴィクトリア駅の近くなら、安宿あるかもよ」

彼女は、そう言うと、慌しくオーダーを取りに行く。
そこだけ見ていれば、何ら日本と変わりない光景だった。



***



戸惑い、迷いながら歩いているうちに、ヴィクトリア駅につく頃には
夕刻を当に過ぎていた。駅前でマルボロを吹かしていると、声をかけられる。

「Can you give me a cigarette?」

一見見慣れのいい英国紳士がタバコをおねだり。ボクがクビを小さく横に振ると、
紳士はつまらなそうに、去って行った。この街は、世界で一番タバコが高く、
1パッケージで1200円はする。そのため、地元の人は、ほとんど葉っぱを巻いて
吸っているようだ。バックパックの中に入った2カートン。たったこれだけで
いつまでニコチンが持つのだろうか。

駅構内には、Hotel informationがあった。一番安いホテルを尋ねると、およそ
10000円もするという。明日なら、安いところが開くが、それでも7000円はする。
正直驚いた。かつてヨーロッパを旅行したとき、ドイツや、チェコのユースでは
2000円程の金額で泊まることができたからだ。ロンドンは、それにすこーし、上乗せ
したくらいだろうと鷹を括っていたのだ。

(ヤレヤレ…)

ボクは、とりあえず明日の分の一泊を予約し、その日は駅で寝ることにした。
大勢の人々が出入りしているし、ポリスメンの姿も時々見られる。ここならば
安全だろう。1000円ほどで買ったハンバーガーと、ポテトフライを頬張ると、
椅子にもたれかかり、ボクは目を閉じ、眠りについた。重たいバックパックの
せいで、疲れていたのか、視界はまどろみ、耳の奥で聞こえる英語のアナウンスが
子守唄のようにゆっくりと遠ざかっていった。


***



「Are you OK?」
目を開けると、そこには、白衣の男が二人立っていた。
夢をみているのだろうか。先週借りて見たERの続きなのだろうか。


「Are you OK?」
その声は、先ほどより幾分ゆっくりとした抑揚で耳元に響いた。

(ここは…)
ボクの左腕から、半透明の長い管が伸びている。その先には、水の入った
風船のようなものが括りつけられている。

(夢か…)


とりあえず、微笑んでみると、目の前の医師もニッコリ微笑んできた。
話を聞けば、ボクは駅で眠りこけ、一向に起きなかったので
救急車でこの病院へ運ばれてきたのだという。しかし一通り、カラダを
見ても怪我はしていないようだ。

「もう、帰っていいよ。きっと疲れていたんだろう」
医師はそう言い、慌しくその場を去っていく。

傍にいたナースに費用のことをたずねると、治療費はタダだという。
さすが、税金が高いだけのことはある。すごいぜ、ロンドン!

(ハハ。一泊浮いちゃったもんねー)

そう思い、バックパックに腕をかけ、ワキバラに手を当てた瞬間だった。

(無い!!!)

貴重品袋にはボクの全てが詰まっていた。パスポート、ワーキング・ホリデービザ、
クレジットカード、現金30万、トラベラーズチェック。

一瞬にして、この世の終わりを感じる。どこをどう探しても見当たらないし、
眠っているときに盗まれたのだろう。派遣社員とゲストハウスの管理人をして
1年半かけ蓄えた貯金が1日にして、全てパーだ。

看護士に事情を話すと、彼女は気の毒そうにこう言った。

「今日のホテルは予約しているんでしょ。あそこはコリアンがやっているから、
 もしかしたら力になってくれるかもよ」


気休めにしかならないそんな言葉をスルーし、ボクは一礼して街へ出た。




***



絶望的な気分でホスピタルの扉を開ける。

雄々と流れるテムズ河はどこまでもゆっくりと流れ、その上をカモメが
優雅に舞っている。視界の先には、ロンドンの象徴、ビッグ・ベンがある。
荘厳なその時計台の文字盤は、目を凝らさずともハッキリ見える。その昔、
地理の教科書で見て以来の再会だ。だがしかし、何もこんな気分で観光名所を目にしたくなかった。


ズシリと重い、バックパックを担いで町へ出る。朝早いせいだろうか。
人影はマバラで、ポリスメンの姿がやたらに多い。こんなに治安のよさそうな街でどうしてボクは無一文になってしまったのか。とりあえず、少しばかりのトラベラーズ・チェックがあるから再発行してもらおう。身分証はなくとも何とかなるはずだ。

そう思い、アメリカン・エクスプレスのオフィスを訪れると、悲しくもCLOSEと記されてある。即席の白い紙にマジックでその文字は書かれており、隅の方には小さくBOMBと書かれてある。

「ボム?午前10時を過ぎているし、平日なのになんで?」


意味もわからず、今度はフリーダイヤルでカード会社に電話をかける。
とりあえず、カード停止と再発行だ。

長い保留音の後、やがて日本人オペレーターに繋がった。

「あのぉ…カード止めて欲しいんですが・・・」
ボクがそう言いかけた時だ。


「大丈夫ですか!今、ロンドンのバスや駅で爆破テロが起きています!」

(テロ…!?)

2005年7月6日。
ボクは死者50人以上を出した、ロンドン爆破テロの前日に入国。
所持金はポケットに入っていた、1ポンド硬貨のみだった。






(つづく…)






by 雑魚ゾンビ 




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BBS




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