つらつらとこれまでの仕事を思い出しながら書いてきた中で、
気が付けばいくつか抜けている商売があった。
そう、まだまだ他にもさまよっていたのだ。

まずビデオレンタル屋。
コンビニを始めた頃、新手の商売としてあちこちで話題になり
はじめていた。


最大手のTもまだそれほど知られていない頃だ。
コンビニの隣を使って出来ないかと思い、FCの募集を
していたとある会社に問い合わせてみた。
とりあえず市場調査をするという事で、そこの社員が来た。
何がしかのお金はかかるけれど、きちんと調査した方がリスク
が少ないと言われ、結局頼む事に。
結果は可もなく不可もなく。
先方としてはビデオを仕入れてくれれば商売になるので、
当然積極的に勧めて来た。
悩んでいるうちに、コンビニの2店舗目の話が来て、結局
やらずじまい。
その後小規模な店舗はどんどん淘汰されていったので、
結果的にこれはやらないで良かったか。

もう一つ、かなり積極的にやろうと思ったのがハンバーガー
ショップだ。
それはFというそれまでの大手ハンバーガーチェーンとは
ちょっと違った個性的な店だった。
アーリーアメリカン調のおしゃれな店構え。
注文されてから作るという手作り感。
まだ都内近辺で10数店しかなかったはずだ。
ここのハンバーガーは自分でも気に入って、よく食べに
出かけていた。
作り置きではなく、注文してから一つずつ作ってくれる。
あまりマニュアルっぽくない接客。

資料をもらいに、千駄ヶ谷にある本部に行ってみた。
この時は確か、コンビニをやめた後に空いた店舗で出店
出来ないかと思って相談に行ったのだ。
数日後、本部の人が市場調査に来た。
結果は・・・残念。
うちの近所にはすでに大手のMが出店していたので、
商売としてかなり厳しいとの見方だった。
考えてみれば、出店のリスクを正直に伝えてくれた稀な
例だった。

こうして見ると、フランチャイズチェーンの出店において、
いかに市場調査が重要視されているかが良くわかる。
市場調査と言えば、コンビニは凄かった。
24時間の店前通行量を調べたり、10年位の予想収支を
出したり。
綿密な調査に基づいて提出された分厚いレポート。
出店する側にとっては、これが出店の判断基準となるほどに
重きをおかれていたりする。

しかしそれがいかに当てにならないものかは、撤退する頃に
なってやっとわかるのであった。

つづく