TOKYO ROLLING LIFE29の景色「3つめの駅」
今日は渋谷へ、
「ワカモノのメッカ」と怪しく呼ばれるこの街は、
確実に目には映らないわけのわかんないパワーで溢れちゃってるから、ただ歩いてるだけで、人の多さと阿呆の多さと、頭上を飛び交う電波に疲れちゃう。なかなかスタミナを要する街。TOKYO
CRAZY CITY.
大阪のミナミとは明らかに似て非なる空間、流行の最先端とか言われるだけあって色や音や人間が多彩、やっぱこの街はこうじゃなきゃって意識を常に持ちつつ自然に形成されているであろう、町の雰囲気。
くそったれギャル男や、汚い顔した派手な女、武闘派丸出しのおにいさんや、援助交際の臭いプンプンの歪んだカップル、嗚呼わたし都会に立ってます感じます。空気は汚いし、騒音は凄まじいし、空は灰色だし、嗚呼、都会です、
さて、なぜ僕が渋谷に登場し、文句を垂れ流しているかというと、
鹿児島出身、東京在住の友達に呼び出され、呼び出した本人が待ち合わせ時間に遅れるという一番ムカつくパターンの真っ只中に居るからである。
くそが、自分で呼び出しておきながら、時間に遅れるたぁ何様よ、アイツ。
こんな右も左も原色な街で、人ゴミの中、女の子を待つならともかく、ハチ公前。
僕のイライラがマックスに到達し、Tシャツを破り散らかし天に向かって咆哮し、発狂せんとするその瞬間に、信じられないような笑顔でトモダチはやって来た。
「ゴメン、ゴメン、待たせちゃった」
その純粋無垢なムカつく笑顔は僕のイライラを消しさった。なぜか、
僕から落ちた「怒り」はスクランブル交差点の真ん中、下を向いたサラリーマンが、ミニスカのギャルとスレ違う瞬間に踏んでいった気がした、
←リアルハチ公
トモダチと合流し、
いざ飯屋へ、飯を喰らいながら世間話、今年で25歳、
社会的にみればまだまだ若造な僕等も、
それなりに経験は積みつつ、ひとつ年を取れば、幾つか経験する粋や甘い、
毎年、毎年、様々な悪や誘惑がやっぱりありますよ。
あんだけ、馬鹿やって笑い転げた僕ら二人、
大阪の夜に何度の笑い声が響いたか、月も驚く大声で、励まし合ったり、怒鳴り合ったり。
くそったれな出来事一つ一つに、心を乱され、笑顔を消され、
右往左往の過去の僕ら、少年のまま。
この親友が、今年パパになるなんて、
時間の流れを悔やむよ、少し。
金も無いし、職もない。この馬鹿な親友。
一年間、ろくに遊ばずに必死に働いた会社を、
体調を崩し退社、
イチから始める人生設計、
現実と照らし合わせば、浮き上がる苦悩や暗闇、
秒針が進むごとに近づく、子供が生まれるその日。
はっきり言って、現実はシビアだ。
でも、コイツは笑顔を絶やさず僕に言う、
「ちかじか、彼女と籍を入れようと思う、その為の書類に友人のサインも必要なんだ、頼む、お前の名前を書いてくれ」
僕は、真剣に心を込め、サインさせてもらった。
現実は「楽」じゃないし、はっきり言って「最悪」に近いと思うけど、
笑顔は絶やさず行ってくれよ、兄弟、
助けが必要なときも遠慮せずに言ってくれよ、兄弟、
俺は、お前で、お前は俺だ。
親友と別れ、一人歩く、渋谷の坂道、
スレ違う一人一人が、それぞれにしかわからない「苦悩」を背負っていて、
仮に僕とスレ違う瞬間が幸福の絶頂期だった人間も、明日になれば悪魔のような不幸が牙をむいているかもしれない、
スレ違う人の、明日の不幸を背負うなんて、恐怖、
考えただけで気が滅入るものの、
せめて、自分の周りの不幸や困難は、共に背負ってやれる人間になりたい、
泣いてるヤツと一緒に泣ける人間になりたい。
たくさんの感情を雑に混ぜ合わせながら、僕は渋谷を後にした、
何も考えず、楽しそうに見える、あの娘も、
あの娘にしかわからない大きな悩みを抱えてるのか、
というコトはつまり、
人は、生きてるだけで、立派なんじゃないのか?
日々精進、
日々成長、
日々青春、
合掌
今日のBGM
pain / 田中雄一郎
|