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>> 毎月1日・15日頃更新

略歴
  1981年、誕生。
地元鹿児島で高校卒業までを過ごし、大阪へ。
19歳の時にオーストラリアへ留学。自然と人間の本質的な広さを知る。
帰国後、大阪に戻る。2002日韓ワールドカップに燃え、道頓堀へ決死のダイブ。
大腸菌と仲良くなる。
その後、専門学校の授業料を払えないまま「卒業」するものの、授業料未納というコトで、当然の退学処置。経歴は高卒。余裕。経歴なんて犬に喰わせればよろし。
大阪で2年間フリーターを経験したのち、3年間付き合った彼女にフラれ、泣きながら上京。
時速40キロの原付(カブ)でひたすら1号線を東へ。枯れない涙に乾杯。

現在に至る

プロフィール
  誠一朗 1981/06/24 a型
クリエイター、詩人、妄想革命家

好きな言葉
「青春」、「お母さん」

嫌いな言葉
「三者面談」、「ブロッコリー」


Web
http://pinkrock.gozaru.jp/easy-going/

 


 
>>BACK NUMBER
その1 スタートライン
その2 「交通大戦争」
その3 「2005年と大きな愛」
その4 「 古きよき時代、失われた若者の”お正月” 」
その5 「 すべての男は、女の瞳に恋をする 」
その6 「 前進 」
その7 「新生 TOKYO ROLLING LIFE〜旅立ち〜前編」

その8 「 新生 TOKYO ROLLING LIFE〜旅立ち〜後編 」
 



2月某日、木枯らしの吹き荒れるクソ寒い上野駅のホームに降りたボク。
当ても無く来たはいいものの、上野。

とりあえず、駅周辺をブラ付き、ボクの繊細で大胆な「せいいちろうアンテナ」の反応を見てみる。


20分ほど、ウロついてはみたが、何も反応しない。
上野に来たのは間違いだったのか、不安が胸をクィクィする。

パッと辺りを見回しても、目に映るのは、7割はジィちゃんバァちゃんで、2割が一般人で、1割がテキヤ。こんな冬のくそ寒い日も、テキヤは往来で独特のイントネーションを含む日本語を勇敢に発し客足の興味をひくのに必死。
しばらくは気付かなかったが、テキヤの中には僕より若そうな人間も居て、そんな子の隣りにいる、彼女のような「奥さん」と二人、いい汗かきながら「タイ焼き」を売っている。しかし、どうしても、そのタイ焼きが美味そうに見えないのは、隣りの彼女のような奥さんの髪型のせいだろうか、ジーザス。肩より長いロングで、上の方は黒く、下に行くほど品の無い金髪。否、アレはアレで美しいのだ。機会があれば僕もいずれ、真似てみるコトにしよう、いずれ。

ってな具合で、「テキヤ」に標的を絞りムズムズしているところで電話が鳴る。

どうやら、待ち合わせをしていた「トモダチ」も到着したようだ。
地元のトモダチで最近、東京へと越してきた僕の同じく東京ルーキーの「濱田君」も合流。アナーキーな男。



この日の僕のジーパンにスウェット一枚という冬らしくない「ナメた」コーディネイトに対し、町の「オシャレ番長」濱田君はスカジャンなんか着ちゃって、もの凄くカッコいいし、何より、木枯らし吹き荒れる2月の上野、そのスカジャンがとても温かく見えた。

「僕もスカジャン欲しいよぉ」

というわけで、上野でスカジャンを買うという目的を設定、足は自然と群集の流れに飲み込まれ「アメ横」へと向かう。

噂には聞いていたが初めて足を踏み入れる東京、アメ屋横丁。
てっきりアメリカ横丁だと思っていたよ、君は知っていたかい?

話を戻す、
アメ横の店先のおっさんたちは、想像を超えるほど威勢が良くて、戦前〜戦後からずっとこのテンションを受け継いで商いをやってきたのかと思えば、心の底からの尊敬に値する。合掌。

アメ横内でウロつくコト1時間。
念願のスカジャンを購入、やったじゃん、なんて感動。
早速、着込み、次の「出来事」を探す。
上野公園に向かい、煙草を吸いながら談笑してたところで、
さすが誠一朗、ミスターハプニング、歩く人間劇場。
公園へと続く階段を登ってる途中で、道脇の「易者」、占い師から手招きを受ける。

道端の占い師はよく見かけるが、こんな感じで向こうからアクションを起こすアグレッシブな占い師は出会ったコトがない。
僕は、足を止め、占い師の前に移動。
仁王立ちで訊ねる

「何すか?」

満面の笑みの中に自信が溢れる占い師は僕にこう言う。

「君は、僕と出会えたコトを幸せに思えるよ」

は?

まさに「は?」な出来事。
何を言ってんだ、この怪しいおっさんは、僕は忙しいのだ、厳密に言うと忙しくはないが、とにかく何か、「話の種になるもの」を探さないといけないのだ。
おじさんのような怪しい占い師にかまってるヒマはないのだ。
内心、不信感にイライラしながら、再度訊ねる。

「何すか?」

「手相をみせてごらん」

?ひょっとしてこれは、「話の種」に発展するのでは。と淡い期待が胸に広がる。

無言で手の平を広げ、おっさんに見せる。

「やっぱり!君の手相は珍しい手相をしている!」

...僕の「話の種」は芽を出した。

「え?どういうコトですか?」と腹の中のウキウキを抑えつつ質問。
聞くところによれば、僕の手相。もともと僕も思ってはいたが、やっぱり人とは違う手相をしてて、つまり。手の平を走る「感情線」と「頭脳線」は普通、横に伸びる感情線と、下へと伸びる頭脳線。決して交わるコトない存在なわけだが、僕の場合。感情線と頭脳線が綺麗に一直線になって、右の手から左の手まで繋がる。

つまりこれ「マスカケ線」という珍しい手相で、
「マスカキ線」じゃなくて少し安心したが、そんなことはどうでもよくて、今では落ちぶれて塀の中の「ほりえもん」もこの手相の持ち主だとか。

「いいかい、君は、大成功するか、大失敗するかのどっちかだよ」と強く言われる。
しかし、そんなんいつも、いつも、何年も、何年も、周りから言われ続けて来たし、自分自身もそう思ってる、「今更」といった感じは否めなかったが、ここで占い師、更なる注文を僕にしてくる。

「名前は何?画数を占ってあげるよ」
僕は、本名を告げる。待つこと3分。

「おー、凄い!31画だ!31画!これは凄い!」
この時の喜び方が「蛍の墓で主人公の妹の節子」がドロップを手にした時とソックリで、色々な意味で感動。
話によると、31画という字数は本当に縁起がいいものらしく、中には奇特なコトに自分の名前を31画に変更する人もいるらしい。

「君の成功は間違いない!これはもう間違いない!だから言っただろうが!君は僕と出会ったコトを幸せに思うって!」
おっさん、えらい感動したらしく、鼻息も荒れる、荒れる。
調子に乗ったおっさん、「易」を僕に披露してくれるとのコト、
「易」とは簡単に言うと、的中率の高い「占い」で、占い師自身、自分を占うときに「易」を用いるらしい。

「いいかい、この棒を私が混ぜてる間に、君は占って欲しいコトを頭に思い浮かべてるのだよ。それだけを考えて、集中しなさい。」

僕は、少々戸惑って、何を占ってもらうか迷う。
的中率が高いなら、ほんと、占って欲しいコトはたくさんあって「恋愛運」とか甘ったるいコト占ってほしかったが、我「九州男児」のはしくれ。否。
何が恋愛じゃ、そんなん二の次。果たして...

とりあえず、そこは固く、今年の運勢を占ってもらう後厄だし。

「うん!」と、大腸を捻ったような声を出すおっさん、結果が出たようだ。

「大丈夫だ!今年が終わる頃君の手元にはいくらかの金も残るし、大きな病気や怪我もない。何も問題ない、君は、本当に結果を残せる人間だ。その調子でいきなさい。もっと、世の為、人の為になるようなコトを心がけて、色々なコトに挑戦していけば道は自然と出来上がるよ。大丈夫、自信を持ちなさい」って。

正直、すげぇ浮かれた。
やったじゃん、自分。このまま行けば大丈夫、迷うコトなく行こうかmy way.
で、最後におっさん釘を刺す。

「でもねぇ、給料日まで自分のお金を残すコトはやっぱり気を付けなきゃダメだよ、君は、給料日前はいつも友達からお金を借りるでしょ?そこは気を付けなさい」

正解。
ここまでちゃんと言い当てる占い師を疑うなんて僕には出来ない。
少しの反省と、相当の自信を胸に僕は席を立ち、頭を下げた。
取られたお金は3000円。
ちゃっかりしてやがる、結局、そこは、取るんかい。

でも、まぁいいや。当たってるとか、外れてるとかどうでも良くて。
初めて来た上野で、スカジャン買って、初めての占いで気持ちいいコト言われて。
僕の心はホカホカでした。

最後に、上野公園で観た西郷さんの銅像、郷土の先輩、夕陽を正面から浴びながら凛々しく立っているその姿に、明日からも頑張ろうなんて、強く誓う。

TOKYO ROLLING LIFE.
最初の山手線途中下車の旅は「上野」
結局、これを書いてる僕自身が、一番気持ちいいという満足な自慰的旅になりました。

次回は何処に行こうか、どんなコトがあるか。
考えただけで、今夜も眠れないコトでしょう。
散文的な長文、ご愛読ありがとうございました。

春が来ましたね。

合掌





今日のBGM
春夏秋冬 / 泉谷しげる


 





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