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Vol.5 『 冬眠とドイツと日本と





はぁ、仕事のことも考えず、こんなにゆっくりと深い眠りをしたのはいつ振りだろうか・・・

「ゆきえはねぼすけ。ダメ人間ですか?」


目をあけるとそう、のぞきこむ男がいる。

あぁ、そうだ。私、タンデムパートナーのとこに居候させてもらうことになったんだ。

いやいや、その前にあなた、寝起きの私に失礼な発言をしませんでしたか?

いやいや、普段英語も使って会話してるのに、なぜそこ完璧な日本語?

間違ってはいないけども。


「なんか、むかつく・・・。」


「あっ!ムカツク?Oh〜Yeah〜!!“ムカツク”オモシロイー!」



変な動きまでしてテンションがいちいち高いわ!外人め!

あ、違う。ここでは私が外人だったわ。









でも、これまで仕事三昧で、買い物もろくに行ってなく、

日本との暮らしの違いは言語くらいだったけど、タンデムと暮らしだして、

ドイツと日本の違いや、一ドイツ人の彼が持つ日本のイメージを知り、

1人でいる時より日本再発見をすることができる。







タンデムから受けた質問

日本人の酔っ払いは、ネクタイ、頭に巻くんだよね?

いいえ、見たことありません。


どうして日本人はメイドが好きなの?そしてロリコンとか萌え。どうして?わかんない。

いやいや、みんなじゃないし。私もわかんないよ。何その日本人のイメージ。


日本には、警察ボックスがあるんでしょ?あれ、変だよね。

この質問を受けて、はじめてドイツには交番がないことに気づいた。ドイツでは警察署はあるけど、
24時間、パトカーで町を巡回している。



日本って、電気会社選べないの!?


えぇ、マフィアが牛耳ってるから。ドイツでは建物ごとではなく、部屋を借りている個人個人で
好きな電力会社と契約できるらしい。


えぇ!?病院お金払うの?

えぇ!?高校無料じゃないの?どうして?高校みんな必要だよね?医療とか教育ってみんな必要だから税金で出すんじゃないの?日本、税金何に使われてるの?



えぇっと、もちろん還元もあるけど、広告とか、道路工事とか使途不明かなぁ?ドイツの税金は高く収入や配偶者の有無などによって違うけど、給与から25%〜50%ひかれるらしい。


なんで、石原を都知事として選ぶの?


あんた、詳しすぎだろう!!


ドイツは決まりで12時前に掃除機かけちゃいけないんだけど、日本はそういうのないの?

これには、驚いた。宗教的な理由とか近隣の人への配慮からそうなっているらしい。










私が、「ここは、ドイツだな。」と感じたポイント。

バスがベンツ。いすゞや日産じゃない。

エレベーターの閉じるボタンがないところが多い。早く閉まれっていつも思う。

スーパーで、誰かが箱を開けて中身を確認したであろう商品がある。日本じゃ考えられない。

乳製品の種類がやたら多い。そして安い。150gくらい入ってそうなヨーグルトトッピング付が20セントくらい。




瓶ビールを持って飲みながら歩いている人が、普通にいる。


高いメーカーの500mlの瓶ビールが85セントくらい。ドイツ人のイメージのまんま。



サッカーの試合のある日は、中央駅なんか応援に向かうサポーターが大きい声を出して歩いている。

そして、この前、プールに行った時は、サッカーの試合結果の速報がアナウンスされた。

飲食店を除くお店が8時に全部閉まる。

日曜日はスーパーもデパートも閉まっている。日本って買い物系が便利だなって本当に思う。






そして、よく訊かれる寒さだけども、あぁ寒かった。


寒波の時にはダイヤモンドダストを拝むことができた。

だけど、室内はセントラルヒーティングなので、日本みたいにトイレがすっごい寒いとかないので、引きこもり大好きな私としては、日本より問題はなかった。



しかし、冬の寒さが本格化する前に、引きこもれる場所を与えてもらって本当によかった。



その引きこもりっぷりに、「ダメ人間なの?」「ゆきえの人生それで楽しいの?」って質問をなげかけられようが、

あぁ、ショッピングや映画よりも楽しいさ!引きこもり万歳!!

幼稚園から変わらない夢は“冬眠したい”だ!と堂々と引きこもってやった。

この冬はその願いを強く思っていないから、きっとその夢が叶っていたのだろう。

 








家なき子となってた私を爆笑してたけど、


実は心配しているのではないかと私が勝手に想像している家族にこの元気な姿を見せてあげようと、ビデオチャットもした。


「あのね、ダニエルって日本語もちょっと喋れるドイツ人が居候させてくれることになったんだ。」


「あぁ、そう。ダニエル・パウター?・・「どーーも!コンニチワ!ハジメマシテ、ダニエルです!」


さっきまで、テレビ見てたくせに急に出てきた。




「ほー、鼻がたけー、魔女みたい。お前たちはもうキスとかしたのか?」


「いやいやいや、ワタシ、チェリーボーイですから。」



私の姉が「ダニエル、かっこいいやん。」と言えば


「俺が欲しいのか?」と同居のドイツ人。



「あれ?そういえばユッキー太った?余計にブスになったね。」


「お前の家族うそ言わない。honest(正直)だね。」


ってオイ!!どいつもこいつもオイ!!いろいろオイ!!



そんなゆっくりなような、騒がしいような冬でした。

ドイツは、小春日和が続いたかと思えば、雪が降ったりと、緑の頃はもう少し先のようです。

言語の習得もまだまだ先です。

ドイツ語環境におかれても受身だけでは何も変わらないことを学びました。





ああ、人生と一緒だ。







つづく



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ラ・由紀絵ここにいます^^






ラ・由紀絵

1982年4月17日、ムツゴロウさんと同じ誕生日に三女として福岡県に生まれる。

幼少期は、山と川で植物と生き物観察と、お絵描きをして静かに遊ぶ。

小学5年の冬に甥っ子が生まれ、友達との遊ぶ約束よりも甥っ子との時間を優先させるほど、愛情を注ぐ。

初めて、幼い子どもと過ごす喜びを覚える。

高校は、NHKの朝の連続ドラマにはまってしまい、遅刻ばかり。眠くてサボってばかりという公私共々ダラけた日々を過ごす。

進路で幼児保育の学校に進むか迷ったが、ピアノを弾きたくないし、勉強をしたくないというこれまたやる気のない理由でニート志望を家族に伝える。

あまりの人生にやる気のない私を見兼ねて母が語学の専門学校に半ば強制的に受験させる。

受かってしまい専門学校のある東京に。すぐに実家に帰ろうと思っていたが、新宿駅をみて「警察24時が現実にある!」とミーハー心に火がつき、卒業後も、東京で就職することに。OL生活が始まる。

OL生活3年目、仕事にも慣れてきて飽き始めた頃に、歩いていたら、 「私、いい幼稚園の先生になれる!」と根拠もない確信がふってわいて、資格を取ることをを考える。

「絶対、キツイから続かないよ。」という声を無視して、お昼OL、夜、専門学生という二足わらじをはきながら3年間過ごす。おかげで、世間に生まれて初めて頑張り屋と思われるようになる。

2009年晴れて、保育士に。大人ではない子ども主体の保育とは何か、一人ひとりの個性や成長をどう見守れるかを考えながら充実した日々とやり甲斐を感じる。

2011年、とある出来事をきっかけに「東京でやることは終わった。」と強く感じる。確信はしてるが、仕事は好きだしお金もな…と迷うが「ハートの声に従うロックンロールな生き方をしよう。」と決心。

2011年4月長年の夢のニートに。

6月末日、ドイツに行きたくなる。

7月上旬、10月にドイツで保育研修会があるという情報を得て、お金も語学力もないのに行くことを決める。


そして、現在に至る。






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