LIFE.35 小説家
又井健太 |
文/写真 MIZUHO |
2011年に『新小岩パラダイス』で第3回角川春樹小説賞を受賞した、又井健太氏と、フリースタイルライフの絆は深い。
かれこれ、6年前だろうか、彼はフリースタイルライフに1通のメールを出した。
書きたいんです。会えませんか?
それが、始まりとなり、彼は、フリスタ上で、雑魚ゾンビという名前で、”さらばガリ勉の日々よ”という、自身の全てをさらけ出すかのような文章を書き、衝撃を与えた。
さらばガリ勉の日々よ
あれから、5年。
世界を放浪した後、彼は、小説”新小岩パラダイス”角川春樹小説賞という大きなみやげを持って再び、僕らの前に姿を見せた。 |
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”いやー、授賞式の時、おふくろ泣いちゃって(笑)
でも、正直それが、一番、嬉しかったんです。”
そう、笑いながら話し始めた、雑魚ゾンビ、いや、又井健太氏(笑)
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それもそのはず、 さらばガリ勉の日々よ を読めば、わかるとおり、彼の人生、壮絶!!(笑)
僕もたいがい負けないんだけど、彼には完全に負けてる。
でも、今だからこそ、笑えるけれど、その当時の又井健太氏(以下、面倒なので、またちゃん)は、そのことで深く深く傷ついていて、
一緒に酒を飲むと、いつもこう言って荒れて泣いていた。
”こんな人生になっちゃって、おふくろになんて言えばいいんだよ!!!”
それを昨日のことのように覚えてる。
そんな、またちゃんが、その時、住んでいた新小岩のゲストハウスに、ひさしぶりに二人で訪ねてみた。
そう、こここそが、小説、新小岩パラダイスの舞台。
ちょっと、ここからは、インタビューだか、レポートだか、なんだかわからない感じなんですが、
是非、お気軽におつきあいください(笑)
(FSL02編集長 MIZUHO)
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実は、新小岩来るのひさしぶりなんですよねえ。 懐かしいなあ。
よく、ここの中庭でみんなと、バーベキューとかやったなあ。
あの頃のみんな、元気かなあ。
と、感慨深く。 |
今のゲストハウスの住人のかたに、ご挨拶したかったんだけど、誰もいなかった。残念。
ということで、今度は、小説新小岩パラダイスに登場する、実際の場所を散策し、小説さながら、実に、てきとーに過ごすことにする(笑)
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それにしても、受賞、おめでとう。
受賞してみて、自分では、どんなこと感じたの?
”いやー、正直、予想してませんでした。
この作品の前にも、何作か書いて、色々な賞に応募しているんですけど、全部、一次審査すら通りませんでしたし・・・
そう考えると、その時、あきらめてなくて、本当によかったなあ(笑)
あぶねー、あぶねー(笑)”
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もう、次の作品づくりに入っているんだよね。
”次は、阿佐ヶ谷を舞台に、小説を書くことに決めてるんですけど、
いやー、正直、けっこう辛い(笑)
はっきり言って新小岩パラダイス書き上げたら、燃え尽きちゃって。
そんで、いつものように、鬱になって、まいったなあ、とか思ってたんですけど、
薬飲んだら、治った!
薬、すげーー、最高!!(笑)”
などと、バカ話をしながら、根っころがる公園のグランド。
かたわらでは、少年達が野球をしている。
まさに、新小岩パラダイスの世界。
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そんなこんなで、夜もふけてきて、次は、小説中に出てくる立ち飲みや、しげきんへ。
ここで、枝豆、あんきも、ビールで、
しばし、小説談義。
受賞作、新小岩パラダイスのテーマについて、聞いてみた。 |
”この小説の原題は『グッバイマネー』だったんですよね。
直訳して、お金よ、さようなら。
やっぱり、これが、この小説の一番のテーマですね。
世界じゅう色々なところを見てきて、肌で感じたけど、この世界は確実に、変化の時期を迎えていると思うんです。
お金だけじゃない、お金に支配されるだけじゃない、そんな人生が確かにある。
そんな生き方への欲求が、世界じゅういたるところで、噴出しているんだと思います。現代は。
そんな見えない空気のようなものを、書いたつもりなんですけど、
その時代性が、角川さんのお気にめしたんだろうな、と自分では思ってます。”
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今後はですね、
”やっぱり、ダメ人間の希望を書きたいんですよね。”
”ダメでも大丈夫。それが一番、大事。”
”そして最終的には、ネバーエンディングストーリーみたいな、夢の話が書きたくて。”
ああ、ビール美味し。
しげきんは、ビール2杯で、退散。 |
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さらに夜もふけ、かなり、酒もはいってきて、なんだかよくわからなくなってくる。
その頃くらいに、新旧フリースタイルライフの仲間たちが、わらわらと集まってくる。
ちょっとした、同窓会に近い。
皆、またちゃんの出世を喜ぶ。心の底から喜ぶ(笑) |
宴の中、誰かが、こう聞いた。
今まで生きてきて、
今まで放浪してきて、
結局のところ何が一番、大事だと思った?
”自分に正直にいること。自分の好きなことをやること。”
ああ、またちゃん、酒がうまいな。
次回作が楽しみだよ。
サイン、もらいました。てへへ(笑)
※こんなんですみません。
しかし、開かない扉はない。
※この言葉の意味が知りたい人は、新小岩パラダイスを読んでみて、きっとわかるから(笑)
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MIZUHO (木藤瑞穂) 千葉市幕張在住
FSL02編集長/MIZUHO
Life photography代表
1971年生まれ。幼少の頃から挫折と現実逃避を繰り返し、全てを世界のせいにして生きてきたが、果てしない苦しみの果てに、息子が産まれ、ついに何かを理解する。
現在はフリーの写真家。そして、1児の父親として、この世界を歩く。もちろん、負け犬。今夜も悲しい夜空を見上げ、どこかで吠えていることでしょう。今度、一緒に吠えますか(笑)
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