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Vol.3 『青天の霹靂〜私の部屋とミュンヘンの空』





ゴトゴトとスーツケースを新居に運んだ後は、与謝野晶子か私かっていうくらいにみだれ髪で働いておりまして、


毎日12時間以上。レストランのホールスタッフをやっておりまして、

バタバタと力仕事をやって怒られて、

今夜レストランでのひと盛りをしているお客様のサービスをやっておりました。




こんな生活で1年が終わるのは

いあーん、いやーん、いやゆよん




でも、部屋を貸してもらってるし。

辞めるなんか言ったら家は出て行かなくちゃいけないし、

この軽口が「がんばります!」って言っちゃったし、半年は辞めないでねって言われたし、

辞めたいなんか言ったら、怒られそうだし。




まぁ、きついけど、これでやっと住民登録もできるし、ミュンヘンに根ざしていけるから頑張ろう。


そして、蟹工船な数ヶ月の合間にお金を貯めて、次のステップの準備をして、

約束通り半年後にやめて残りのワーホリ人生謳歌しようなど、策を練っていたわけであります。





そして、定休日の束の間を利用して、女神様の手を借りたり、どうにかこうにか自力で、

住民登録、銀行口座開設、インターネット契約と着実にこちらでの暮らしを固めておりました。
(代行業者に頼んだら何万かするみたい。)



住まわせてもらっている部屋も自分名義で契約を進めようと、不動産屋さん(日本人)とやり取りをしていたわけであります。



こっちに来てインターネットがつながるまで、約40日間、街中のWi-Fiのホットスポットを探して、寒い中通信したり、

ボスにお願いしてお店のWi-Fi使わせてもらったり、細々とみんなと連絡をとってたわけであります。




「これで、自分の空間でゆっくり思う存分インターネットできるぅーーー!!ここまでの道のり大変だったーー!!」と喜びをかみ締め、


日本の家族ともこっちに来て初めてビデオチャットをして、自分の部屋を得意げに見せてあげて、


「文明の利器すげぇーー!!」と感動し、とこれからのドイツ生活に期待を膨らませ部屋でゆっくりと、過ごしていた半休の日の正午前、それは突然に起こりました・・・








プルルルルル・・・・


「もしもし?」

「あ、ラさん?〇だけど」

「あぁ、〇さん!(不動産屋さん)何か?」

「その部屋なんだけどね、明日出ていかなきゃならないから。」



「・・・・!???は?なんで!?どういうことですか!?」

「なんかね、12月から住む人決まってるんだよ。」

「は?(おい、クソジジイ、2日前に住めるからってあんた契約書持って帰ってたよね?)どういうこと?12月から住む人決まってて、いつまでに私出て行かなきゃならないんですか?猶予は?」

「いやー、明日出ていかなきゃならない。最終的なことは明日の午前中にわかるから。」

「は?(おい、クソジジイ、まったく意味がわからない)じゃあ、私、どうしたらいいんですか??とりあえず、荷物まとめておいたほうがいいってこと?(4時間後には仕事なのに。せめて昨日言ってくれれば一日休日だったのに、おい、クソジジイ?)」

「うん。そうだね。」


ツーツーツー・・・・



はい?


えーと、はい?


まったくもって頭の中が真っ白です。


とりあえず、何時間か前に「ここが私の部屋〜♪」って得意気にビデオチャットした家族に連絡をとりました。


「私、ユーロより先に崩壊した(笑)明日、部屋出て行かなくちゃ。」



myファミリー、爆笑です。

よし、笑いをとった!
なんて、生活をかけた捨て身のギャグ♪


いやいや、笑うところじゃないよ、心配しなさいよ、外国で娘さんがいきなり家なき子よ?

しかし、明日からの生活が全くみえないものの、この窮地、ストレスもあるけど自分でもちょっと楽しい。


そして、ビデオチャットを終えた後、どうなるかわからないし、いい案は浮かばないけどとりあえず部屋中の荷物をまとめて仕事に行くことが私の今すべきことで、できることは一人笑っていいともで知り合った人たちに助けを求めることとカップラーメンでも食べて一息つくこと。



日本のより味の薄いカップヌードルと海外規格だから、洗面台の鏡が高すぎてでこしか映らないin 追い出された部屋







ふむ、こちらのカップヌードルは日本のより味が薄いな。



あぁ、そんなことはどうでもいい。私の部屋がほしい。いや、ドイツ語教えてくれるイケメン付一軒家が落ちてないかな、

いや、贅沢は言わない日本語のしゃべれるドイツ語を教えてくれるイケメン付お部屋がほしい。


そんな妄想をしてたらあっという間に、仕事の時間になり、一緒に賃貸契約の書類を進めていたボスに開口一番、


「〇さん(不動産屋のクソジジイ)から連絡ありましたか?」

「あぁ、着信あったけど出れなかったんだよ。」

「今日、お昼に〇さんから電話があって、よく状況わかんないけど、私、明日出て行かなきゃならないらしいんです!!」

「・・・なに!?どういうことだ!?〇さん話が違うじゃないか!?あれだけ、『部屋押さえられてるんだよね?』って確認して『大丈夫』って言ってたじゃないか!?」


とすぐに、不動産屋のクソジジイに確認、抗議の電話を入れてくれました。


が、ボスの訴えでどうにかなることではないらしく、状況としては、以前お店で働いていた人が辞め、その部屋をボスが押さえるために 11月分まで賃料を払っていたが12月以降の本契約はまだ結んでいなかった。

その時に私が転がりこんできて、私の契約を進めようとしていたのだけど、競合相手の不動産経由で、すでにその部屋の本契約を済ませていた人がいた。


クソジジイの連絡、確認不足でした。

クソジジイは、一言も謝らずに言い分けしかいわないけど、ボスは優しくって「俺がついてるから、一緒にいい案考えような。」と仕事の合間を縫って部屋が空きそうな心当たりの知り合いに連絡をとってくださいました。


とりあえず、明日からはユースホステルに舞い戻らなきゃ・・・








そして、みだれ髪で働いた後は、連泊できるユースホステルの予約をしたり、荷物整理や部屋掃除をしたりしてほとんど寝ずに朝を迎えると、

また不動産屋のクソジジイから電話がありました。


プルルルルル・・・

「もしもし?」

「あ、ラさん?住むとこ見つかった?」

「はぁぁ??????昨日の今日で見つかるわけないですよね!?(これから仕事で忙しい時間に余計に腹立つわ)」

と、呆れMAXで答えると
ジジイは責められるのを避けるように


「同じアパートに、日本人女性で状況が状況だから1週間くらいだったら泊めてくれるっていう人がいるんだけど。」




と見ず知らずの私を泊めてくれようとする天使のような女性の詳細を話し出した。




「まぁ、とりあえずはユースホステル予約したからしばらくはそっちにいるつもりだけど・・・。」


と、クソジジイの電話を切り仕事に行きました。


はぁ、どうなるのだろう。まぁ、どうにかなるだろうけど。
生きてりゃいいや。


そんな風に思っていると、仕事のボスが「知人に12日に海外に発つ人がいてその後部屋入れるって!!間借りなんだけど。そこの家主が赤ちゃんいるから君のこと話したらベビーシッターもお願いしていいのか?って訊いてたぞ!よかったな!」


って、保育のほうに徐々にフェイドアウトしたかったし願ったり叶ったり!!!!ちょっと、私のラッキーっぷりすごい。

ゴールが見えてるからちょっとの間のユースホステル暮らしがんばれる(最初のときとは別のユースホステルで居心地が超悪かった)、私の未来は手の中〜♪
と、また期待を胸に仕事を頑張っていました。


そんな、数日を過ごしていると、またボスから「大変なことになった・・・。入れるはずの部屋の住人が部屋にカビ生やしちゃって、12日からその補修工事で、入居できるのが1月からになったって連絡があった・・・・。」


ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!

 







ギリシャだけじゃなくて、イタリア、お前もか!?とユーロ圏の経済と自分の状況のシンクロを感じながら、
渡独2ヶ月目にして、最大のピンチを迎えておりました。



私の安定の細道はやっぱり細かった。

やっぱり私、ユーロより先に崩壊してる。



この湿気の少ないドイツでカビですと?

洗濯、室内で干してもその日のうちにほとんど乾くよね?
ぜんぜん、笑えない。

しかも、12月、普通、ただでさえ忙しい年末に引越しなんかしないでしょ?

しかも、ここはドイツでも一番住宅事情が厳しいミュンヘン。

しかも、私はお金をたくさんもってない。

しかも、仕事はきつい、拘束時間長い。





私の人生どうなるの?

涙がホロリする頃に、家族から一通のメールが届きました。


『ユッキーの人生、波乱爆笑やね。ユッキーのことやきまたどうにかするんやろ?(笑)』


励ましなんだか、冷やかしなんだかわかりません。

冷やかしなら帰ってくれ!!そして、私にも帰る場所がほしい!!

 





そんな、精神的にダメージのくる情報を得た日にトボトボと居心地の悪いユースホステルに帰ると、
世間は、フライデーナイト。

ちょうどウトウトしたころに、同部屋のグループが酒に酔っ払って部屋に戻ってきて騒ぎ始めた。


静かにしてほしいけど、英語で話せない。

話せたとしても、体格も日本人男性より大きいし怖い。

なんなの今日は、too bad 。

嫌だ、こんな思いまでしてまで、ただでさえきつい仕事したくない。

そもそも、部屋がほしくってはじめた仕事、その部屋がなくなった今とどまる理由がないよな。

でも、みんな仕事は厳しいが優しいし。という私の涙や葛藤はもちろん知られるわけでもなく、
グループで騒いでいやがる。


そしてもう部屋が限界すぎて、部屋を変えてくれるよう目に涙を浮かべながらフロントに行くと、
「今、警察沙汰の事件が起こったから時間が取れない。」と冷たくあしらわれる。



今日は手に入りそうだった部屋もなくなるし、仕事に疲れて帰ってくりゃあ部屋はうるさくて眠れないし最悪すぎる。

そして、なんなのここのユースホステル。汚いし、事件って・・・・


もう我慢の限界だ!!!まだ予約は10日くらいあるし、明日からの寝床は確保されてないけど、こんなとこ早くおさらばだ!!!


と、朝のフロントが開く時間に速攻、

「明日にチェックアウトする(今日中に明日からの宿泊先を確保しようと思って)から、明日以降の予約をキャンセルするから返金してくれ。」と言うと、ここのユースホステルとあるサイト経由で予約をしていたものだから、システム上、そこのサイトから変更メールが来ていないと変更も10日分の約120ユーロも返金もできない、部屋が嫌なら、部屋は女性部屋にチェンジできるけどそうなると、もう12ユーロほど部屋代を頂戴すると言われ、

我慢して確保できている120ユーロの分の宿泊の元をとるかどうか、そして、尚且つその滞在を少しでもよいものにするためにもう12ユーロ支払うか、120ユーロ溝に捨てるつもりで一から滞在先を探しなおすかという選択を迫られてしまいました。


なんなんだ、ここは。嫌過ぎる。嫌過ぎるぜまったく!!!空気が悪いぜ。



ぐおぉぉぉぉおおお!!!!

今日、最悪野宿でもいい!!!!!!


「いやもう、これからすぐにチェックアウトする。返金されなくてもいい。」

こんなところに、私の貴重な時間やエネルギーもお金も、もうびた一文も払いとうないわ!!


そして、ゴトゴトとスーツケースとまたどうなるかわからないこれからに向かうのでありました。

 






「あ、、、クソジジイに教えてもらった天使のような優しい女性を頼ってみようかな。急だから無理だろうし、連絡つくかどうかわかんないけど・・・。」と閃きに似たような最後の光にかけてみました。


プルルルル・・・・

「もしもし」

「〇さんに紹介してもらったラですけど。急で申し訳ないのですが、今日から泊めてもらうことはできませんでしょうか?しかもそちらに行くの夜の1時過ぎになりますが・・・。」



「あ、はい。今回は大変でしたね。どうぞお待ちしておりますね。」


本当に天使のような優しいお声・・・そして実際に優しい・・・・


そして、仕事終了後、夜中に天使さまのうちの呼び鈴を鳴らすのでありました。


「夜分遅くにすみません。。ラです。」

「はじめまして、どうぞ、お入りください。」と優しい表情で見ず知らずの女を迎え入れてくれるのでありました。



「天使様、このたびは見ず知らずの私を受け入れてくださりありがとうございます。しかし、天使様、見ず知らずの女を受け入れてくれようなんて勇気がおありですね。」

「え?でも、それ、ゆきえちゃんもですよね?(笑)見ず知らずの女のうちに泊まりにくるなんて(笑)」と
お互い様であることを確認しあい笑ったあとは、まるでずっと友達だったかのように色々と話しました。


すると天使様が

「そうだ、私、明日、ドイツ人の友達と会うんだけど、もしよかったら一緒に遊ばない?どこかでお茶飲むか、家でお茶でもいいけど気を使うなら無理しなくてもいいけど。」

「いやいや、全く!むしろ、ずっと働いてただけだからそういうのしたい。」

「じゃあ、家でお好み焼きパーティーしよう!友達にそう連絡するね!」


そうして、翌日約束の時間に天使様の呼び鈴がなりました。

「Hello!・・臭っ!!」


ん?ドイツ人って聞いてたけど今日本語が聞こえたけど・・・・?なんで????


それが、出会いでした。

 




街はクリスマスマーケットをやっていますた。






つづく



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ラ・由紀絵ここにいます^^






ラ・由紀絵

1982年4月17日、ムツゴロウさんと同じ誕生日に三女として福岡県に生まれる。

幼少期は、山と川で植物と生き物観察と、お絵描きをして静かに遊ぶ。

小学5年の冬に甥っ子が生まれ、友達との遊ぶ約束よりも甥っ子との時間を優先させるほど、愛情を注ぐ。

初めて、幼い子どもと過ごす喜びを覚える。

高校は、NHKの朝の連続ドラマにはまってしまい、遅刻ばかり。眠くてサボってばかりという公私共々ダラけた日々を過ごす。

進路で幼児保育の学校に進むか迷ったが、ピアノを弾きたくないし、勉強をしたくないというこれまたやる気のない理由でニート志望を家族に伝える。

あまりの人生にやる気のない私を見兼ねて母が語学の専門学校に半ば強制的に受験させる。

受かってしまい専門学校のある東京に。すぐに実家に帰ろうと思っていたが、新宿駅をみて「警察24時が現実にある!」とミーハー心に火がつき、卒業後も、東京で就職することに。OL生活が始まる。

OL生活3年目、仕事にも慣れてきて飽き始めた頃に、歩いていたら、 「私、いい幼稚園の先生になれる!」と根拠もない確信がふってわいて、資格を取ることをを考える。

「絶対、キツイから続かないよ。」という声を無視して、お昼OL、夜、専門学生という二足わらじをはきながら3年間過ごす。おかげで、世間に生まれて初めて頑張り屋と思われるようになる。

2009年晴れて、保育士に。大人ではない子ども主体の保育とは何か、一人ひとりの個性や成長をどう見守れるかを考えながら充実した日々とやり甲斐を感じる。

2011年、とある出来事をきっかけに「東京でやることは終わった。」と強く感じる。確信はしてるが、仕事は好きだしお金もな…と迷うが「ハートの声に従うロックンロールな生き方をしよう。」と決心。

2011年4月長年の夢のニートに。

6月末日、ドイツに行きたくなる。

7月上旬、10月にドイツで保育研修会があるという情報を得て、お金も語学力もないのに行くことを決める。


そして、現在に至る。






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