Vol.2 『 明日と娘と息子 』
胸を張って言う。
高校2年のときにサーフィンと出会って以来、僕はサーファーだ。
気心の知れた仲間たちと海に入るのが大好きだ。
いい波をゲットできたときはもちろん最高。
フラットなときも、ダンパーなときも仲間と入れば心は洗われ、"また仲間たちと海に行くために明日を頑張ろう。"という気持ちにさせてくれる。
僕にとって海とは自分であるために必要な場所なんだ。
海と一体になることで自分を見つめ直し、気付きを与えてくれる場所。
そんな僕らの海を2011年3月11日の人災が突然に奪った。
徐々に海が汚染されていくことは明白だった。
家族、親戚、友人の安否も確認でき、なんとなくだけど落ち着きを取り戻したころ、友達から1本の電話があった。
「ごめん。もう千葉の海には行けない。」
彼は高校時代からずっと一緒に海に行っている親友だ。
サーフィンをするために海外留学もしていた。
そんな彼が言う。
「子供がいるお前らに千葉の海に行かせられない。」
すすり泣く声が聞こえた。
「結構、真面目にサーフィンやってたんだけどな...」
僕は何も言えなかった。
やっと言えた言葉は「そうだよね。」の一言のみだ。
数年前、六ヶ所村のプルサーマル計画を知った僕たちは、反対の意を示すために計画反対の署名をした。
僕の結婚式の2次会ではFLY☆81のAkilaさんに借りた、Surfrider
Foundation Japanが作成した六ヶ所村のプルサーマル計画の実態を描いた映像を流し、計画反対の署名を募った。
多くの心優しき友達が、計画反対の意を示し署名してくれた。
歩みを止めず意識を高めていこう。そう思っていた。
そして3月11日の人災が起き、「今は千葉の海には行けない」そう思った。
今度行けるのは明日かな?来年なのかな?それは再来年かもしれない。
もしかしたらもっとずっと遠くのことかもしれない。
いつかまたみんなで、いつものように千葉の海に行きたいと思っていた。
そうこうしているうちに、今度はこんな話しを耳にした。
放射性物質を除去する機能が備わっていない千葉県の水源近くの産廃処分場に、
東北からの放射能汚染された瓦礫の受け入れが開始されると言う。
詳細↓
http://sodegaurakodomo.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
放射能汚染された瓦礫をどの様に処分するのか、
日本国民として考えなければいけない問題だっていうのは理解できる。
でも、それは水源近くに置いていいものなのか?
汚染水が川や海に流れ込むことはないのか?
焼却時に放射性物質が散布されることはないのか?
産廃場近くの水源から作られた水は安全なのか?
なんで唯一の被爆国である日本がこんなことになっちゃったの?
自然の偉大さを知っている僕たちが望むのは、そんな多くのことではない。
子供たちが泳ぐ海を残したい。
子供たちが飛び回る空を残したい。
子供たちが駆ける大地を残したい。
ただそれだけなのに。
FLY☆81はPeace on Earthという曲でこう訴えている。
それぞれに気付く事を今始めよう 愛を示そう
永遠に咲く花を求め繋いで行こうよ 君の子供達に
自分の五感で見極めることが必要なんだと思う。
その結果、やはり原子力は必要だと思う人もいると思う。
また別の人は原子力に依存しない世界をと思うかもしれない。
人それぞれ意見は多様だと思う。
でもね、これだけは変わらない確かなことなんだよ。
明日、誰かが未来を創るんじゃない。
未来を創るのは『今の君』なんだ。
この原稿を書きながらも涙がとまらない。
僕は子供たちに明日を選ぶ自由を残せるのかな。
|