Vol.2 『 11年と僕 』
夏の強い日差しが肌をこれでもかっていうほどに焼いた2000年8月26日。
僕は、千葉マリンスタジアムにいた。
今や伝説となったAIR JAM 2000という音楽のイベントを観戦していたのだ。
台風の影響も心配される中、見事に夏日となった2011年9月18日。
僕は、横浜スタジアムいた。
11年の時を経て復活したAIR JAM 2011に参戦するためだ。
20代後半から30代前半のPUNKS、もしくは元PUNKSが11年間、心待ちにしていたイベントだ。
僕もそのうちの1人として首を長くして、この日を待ちわびていた。
なにをそんなに待っていたのかというと、僕の人生に大きな影響を与えたHi-STANDARDというバンドが、
2000年8月26日を最後に公の場から姿を消し、2011年9月18日に再度、復活を遂げたのだ。
2000年8月26日の千葉の地で、僕は音楽とストリートカルチャーのクロスオーバーを体感し、
音楽の自由を知り、より一層PUNKにのめり込んでいった。
こんなにも音楽で心は開放されるんだ。
演奏しているわけではなく観戦していた僕ですら、
なぜか無敵感を終日にわたって感じていたのを鮮明に覚えている。
ちょっと大げさな言い方をすれば、
それ以降の僕の人生に彩を添えるきっかけとなった特別なバンドであり、イベントだ。
そんな思い入れ深いバンドとイベントが満を持して復活した。
AIR JAM 2011は実に素晴らしかった。
あの時と変わらず
そこには自由と、自由であるための責任があった。
「冗談みたいだけど、本気で日本の為に復活したんだよ」とHi-STANDARDの横山さんは言っていた。
詳細は割愛するが、AIR JAM及び、Hi-STANDARDは
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の復興のため、復活を遂げたという経緯がある。
義援金は送らない。どんな使われ方をするか自分たちでコントロールできないからだそうだ。
今回のイベントの利益を持って、チケット代を出来るだけ安く抑え、東北地方でAIR JAMを開催するという。
東北地方に住む、それぞれのファンが元気になってくれるのであればと。
その思いに賛同し、僕はイベントを観戦した。
10代、20代前半のPUNKSもいれば、20代後半から30代前半のPUNKSも沢山いた。
その場にいたみんなが予定調和ではなく"ガチ"で楽しんでいた。
少なくとも僕はそう思った。
そしてHi-STANDARDの出番となり、11年前のあの日と同じく1曲目にSTAY
GOLDが演奏されたとき、僕は思わず涙した。
不思議と多くの感情は沸きあがらず、シンプルにただこれだけを思った。
あぁ音楽って素晴らしい。
また、明日から頑張ろう、と。
そういえば昔、どこかの誰かが言ってたっけ。
「音楽が世界を変えるんじゃない。音楽を聴いて勇気や力をもらった奴らが世界を変えるんだ。」って。
僕は、今日も子供たちに言うんだ。
いつまでもピカピカのままでいるんだ。
忘れるなよ。
心の中にステイゴールド!
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