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するがゆえ、飛び蹴りくらわす


恋愛、そして結婚と自由。

私の好きな人が私を好きできてくれること、
私の好きな人が私と結婚してくれたこと、

これって真面目に奇跡なんじゃないかなって思う。

そんな私の恋愛と結婚についてお届け!








Vol.5 ロマンチック原理主義者の男



「月を観に行こう!」


彼からそんな電話がかかってきたのは深夜2時。

私の家の前から電話してきたようだ。


当時、典型的な夜型人間だった私だが、“こんな夜中にお月様を観にお出かけなんて、頭ん中がお花畑のじゃあるまいし”などと不服に思い、当然のように断った。

ところが、しつこさに関しては病的なほどの彼。何度断っても一向に引き下がる気配をみせず「月がやばいんだって!」と呪文のように繰り返す。ちょっとした狂気を感じるほどに。


電話口での押し問答を続けること10数分、ついに根負けした私は重い腰を上げてタラタラと外に出た。アパートの階段を下りると、彼が高揚した様子であらためて「今夜の月、やばい!」と言う。


そして、さっと私の手を引き、歩き出した。何がなんだかさっぱり状況が掴めず、ただただ彼に着いて行く。着いたのは街の高台だった。



「うわあああああ」。


これまで見たこともない月の様子に思わず声が漏れる。

そこにある月は途方もなく大きく、真ん丸く、茜色に染まっていた。


しばしその巨大な惑星に目を奪われ、ふたりして何を話すわけでもなく、ただ月を見つめていた。





 

次に、28歳の私の誕生日のこと。


私のリクエストは「この一年間の外食の中で、一番美味しかったお店に連れて行って!」というもの。

少々高飛車なお願いをしてしまったかなぁと内心ドキドキしていたのだが、彼は柄にもなく銀座にあるお店を予約してくれた。

28歳の私たちには少し背伸びしたお店だった。




慣れない雰囲気に少し緊張しつつ食事を済ませると、彼は「行きたいところがある」とだけ言い、これまた私の手をぐんぐん引いた。

着いたのは何の変哲もないオフィスビルだった。


何も聞かされないままセキュリティをくぐり抜け、エレベーターに乗って最上階に到着。

すると、彼は非常階段を通り抜け、2mはあろうかという柵を慣れた様子でひょいっと乗り越えた。


“おいおい、大丈夫なの? 捕まりやしない?”と不安になる。



「柵、登れる?」と彼が聞くので、私は少し不機嫌な態度で「登れない」とだけ答えた。

だって今日のためにオシャレをしてきたのに台無しだ。新調したばかりのワンピースを引っ掛けたら最悪だし、大股開きで柵を登るなんてマヌケの極みじゃないか、と彼に対して腹が立った。

乙女心をまったく理解していない、と。それに、こんなところで不法侵入で捕まりたくなんてない!



ところが彼は、躊躇する私のことなどお構いなしといった感じで、いきなり腕をぐっと掴み、屋上へ引き上げ始めた。

ついでにポツリと「お、重いっ…」とこぼしたことは今でも根にもっている。




やっとの思いで柵を越えると、そこにはいかにもといった東京の煌びやかな夜景が広がっていた。

そして、夜景の真ん中には東京タワーが赤くそびえ立っている。まるで子どもの頃に見たトレンディドラマのワンシーンのようであった。

私が赤名リカなら「カンチー! セックスしよ!」などと大声で叫ぶレベルのトレンディ具合だ。



不似合いな大都会の夜景を目の前に、お互い照れ臭くなり無言の時間が続く。続く。

ちなみに、後で知ったのだが、彼の名誉のために記しておくと、そのビルは彼の父の会社が入っているビルとのこと。

彼も時折訪れては、夜景を眺めていたそうだ。








最後に、鹿児島へ結婚の挨拶に来たときのことである。



彼の故郷、薩摩川内市は、街のメインストリートがシャッター商店街というなんともさびれた街。(所謂、過疎化の街である)

それゆえに夜になると辺りは人通りもなく、特に彼の家の周辺は街灯もないため、漆黒の闇に包まれる。家から一歩外に出れば、暗闇に目が慣れるまでなかなか辺りを見渡すことができないほど。

しかし、その暗闇と反比例するように、空に目をやるとそこには満天の星空がどこまでも広がる。


家族や親戚への挨拶を済ませ、宴もたけなわになった頃、彼は私のために庭にせっせと敷物を準備して寝転がるように言った。

ゴロンとそこに寝転がると、目の前に延々と広がる夜空はさながらプラネタリウムだ。


そして、彼は私の隣に来ると北斗七星やオリオン座など、空に散りばめられた星座をこと細かに教えてくれた。

当時、東京で日々時間に追われ、日常に困窮していた私にとって、この上ない非日常の空間であった。


ああ、なんてロマンチック!



いつも私の右隣にいる彼は、今は旦那さんになったわけだが、それはもう左足の裏みたいな顔だけれど、完全なるロマンチック原理主義者。


何がどうなってそんなにロマンチストになったのか、結婚した今もなお不明だが、私が出逢った誰よりも大雑把で繊細なロマンチストなのだ。


かと言って、特にロマンチックな言葉を囁くわけではないのだけれど。


女友達に話せば「いいな?ロマンチック?」なんてうっとりする。だが、彼は左足の裏みたいな顔だということだけは二度書いておく。




この凄まじいギャップは一体何なんだろうか。それだけは結婚した今もなお謎なのである。


いつか私たちに男の子でも生まれることがあれば、きっとそりゃあロマンチック原理主義者に育つのだろうと想像し、ニヤニヤしてしまう今日このごろ。


2012年5月6日、彼と私の結婚生活もドタバタながらに一年間が経った。




さて、そろそろ三人目のロマンチックなチームメイトを迎え入れる準備でも始めようか。

















>>はじめまして。良美です。

ちょっと変な旦那さんをもつフリーライター。

FSL02では、私なりの視点で恋愛や結婚について綴っていけたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。




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