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するがゆえ、飛び蹴りくらわす


恋愛、そして結婚と自由。

私の好きな人が私を好きできてくれること、
私の好きな人が私と結婚してくれたこと、

これって真面目に奇跡なんじゃないかなって思う。

そんな私の恋愛と結婚についてお届け!








Vol.4 赤いパンツの男




2010年9月末――。
彼氏の家族や親戚に結婚の挨拶をするため、生まれて初めて鹿児島の地を訪れた。
仕事の合間をぬった一泊二日の強行スケジュール。
何週間も前から「何を聞かれるのだろうか、何を話そうか」など、
さまざまな思いを巡らせながら、これまでにない緊張や喜びに包まれていたことを今でも覚えている。
彼と二人、鹿児島空港に到着。
すると、9月とはいえ、そこはまだまだ真夏ともいえる強い日差しが照り付け、道路脇には南国を思わせるヤシの木が悠々と風に撫でられていた。
東京とはまったく違うその風景に“ついに鹿児島へ来たんだ”と否応なく実感させられる。
突然、「海を見にこう!」と言う彼。
私たちは南国の解放感に身を任せ、食事会までの時間を海で過ごすことにした。
レンタカーを走らせ、彼が子どものころによく来たという思い出の海へ向かう。目的地である海は思っていたよりも青く、空はどこまでも高く広がっていた。
しばらく二人で海を眺めていると、ふいに彼が洋服を脱ぎ始めた。「海、入ってくる!」と彼。
「ちょっと待って!  着替えもないし、タオルもないし、この後は食事会だよ!  止めてよ!」と必死で制止する私の言葉などお構いなしに、彼は次々と洋服を脱ぎ捨てる。
赤いパンツ一丁になると、再び「海、入ってくる!」とだけ言い残し、彼は子どものように海に向かって走っていってしまった。
周囲には疎らに人もいたが、そんなことは関係ないといった様子だった。
仕方ないと諦めモードで海の中でひとりはしゃぐ彼を見つめる。この後は食事会だ。きっと彼は彼なりに緊張をほぐしているのだろう、などと考えながらぼんやりとしていた。




腕時計に目をやると、そろそろ食事会の時間が迫っていた。
「もう時間だよー!  上がって来てー!」と大きな声で海の中の彼を呼ぶ。しかし、彼は一向に海から上がって来ない。迫り来る時間に徐々に焦りと苛立ちを感じる私。
脱ぎ捨てられた洋服を集めながら、ふと海へ目をやる。“あれ?”なんだか彼の様子がおかしい。“まさか溺れた!?”と緊張が走る。だが、私は泳ぎには自信がある。いざとなったら飛び込む覚悟で波打ち際に近づく。
「どうしたのー?  大丈夫―?」と声をかける私。
すると彼が半べそで叫んだ。
「赤パン波で流された〜〜!」。
…もう笑うしかなかった。
結婚の挨拶という人生の中でも大事な日トップテンくらいにはランクインするであろうこの日。私の婚約者は海でパンツを流された。もう一度言う。私の婚約者は結婚の挨拶の当日、海でパンツを流された!
最初は額然としていたが、海の中でたじろぐ彼を見ていると、もはや込み上げてくる笑いを止めることが出来なかった。
「よっちゃ〜ん!  お願いっ!  海のギリギリまで服持って来て〜!」と彼が大きな声で言う。
「やだよー!  そのまま上がっておいで〜!」と言って海から離れる私。
周囲にまだ人はいたものの、何度かこんなやりとりを繰り返しているとだんだんと私まで恥ずかしくなってきた。仕方なく洋服を持ち、波打ち際へ近づいて終始中腰状態の彼に洋服をホイッと投げて渡した。
周りの人々の冷たい視線が痛かったが、思わず持っていたデジカメのシャッターを切りまくった。爆笑でデジカメがブレる、ブレる。海水浴客などろくにいない9月の海で、不可抗力とはいえ全裸になったおっさんがひとり、びしょ濡れで佇む姿ななんともマヌケであった。
初秋の静かな海で、全裸の彼と私の笑い声だけが響いた。



その夜、彼は家族や親戚、総勢20名ほどの前で私との結婚を報告した。皆一様に喜んでくれ、世がふけるまで大宴会となった。
この日、彼のお母さんが言った言葉が耳に残る。
「ごめんね、良美ちゃん。誠一朗は笑ってばっかりで…」。
私は“違うんですよ、お母さん。笑わせてもらっているのは、いつも私の方なんです!”と言いかけて止めた。
まだ鹿児島に移住するなんて夢にも思っていなかったころの話だ。あの赤いパンツは今どこに浮かんでいるのだろう…。














>>はじめまして。良美です。

ちょっと変な旦那さんをもつフリーライター。

FSL02では、私なりの視点で恋愛や結婚について綴っていけたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。




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