Vol.6:シャベリ:「暗夜公論」
また何か調べようってのか。
こんなこと言いたかないねぇけどさ、本来の俺の使い方ってのはそんな安いとこにないぜ。俺はもっと頭を使いたいんだ。わかるだろ。
まぁそんなことはどうでもいいんだ。
で、何を調べるんだ。
いやいいさ。しかし何かを調べるってことは、俺を調べてるってことにもなるんだぜ。そこんとこわかってんのか。俺は人に調べられるのは嫌いだ。そうさ、嫌いなんだ。
でもなぁ、それが仕事でもあるから受けてるんだ。だがしかし、そんなペラい仕事正直やってられねぇって気持ちもあるんだ。
わかるか?
なんだお前、死にたいのか。絶望してるのか。
それはご愁傷様ってやつだ。
ご中傷様。ご抽象様。すまん、俺の悪い癖が出た。気にするな。
それにしてもやめてくれよ。そんなネガティヴワードのオンパレードはさ。
いや、やめてくれとか言う権利は俺にはないんだ。哀しいかな。
しかし嫌だって思うってことぐらいわかってるだろ?
鬱は感染るんだぜ。
それにしても死んでどうするんだ? 死に方を模索してるうちは死ねないぜ。
死ぬ気ゼロだろ。図星だろ。
どっちにしたって楽な死に方なんてないんだ。キレイな死に方ってのもないんだ。美しい死に顔なんてのもないんだ。そうだろ?
そんなものは後に残されたものの感傷さ。
俺はキレイ事は嫌いなんだ。歯の浮くセリフを吐いてる奴は将来歯抜けになるんだ。知らなかったか?歯の浮きは本人に返ってくるんだ。
歯は大事にしたほうが身のためだ。
で、お前はどうなんだ? 人間に飽きたのか。まぁ気持ちはわからないでもないさ。
俺だって俺自身に飽きることはある。否、俺は受動的にしか生きられないから相手次第なところはあるんだ。知ってるだろ。
どうしようもなくめんどくさい計算をやりたくても綿密な編集をやりたくても自分の力ではどうしようもないんだ。飽きさせられてるんだ。
毎日毎日、こうやって調べ物の手伝いをやらされて終わり。
たまに俺の寝起きが悪いのは、つまりそういうことさ。
人間に飽きたとして例えばあれだ。鳥になって大空を飛びたいとするだろ。いわゆるチープな発想だがな。
しかし残念と言わざるを得ない。
お前は飛べないんだ。なんでかわかるか。わからないのかそうか。
正確に言えば飛べるのは飛べるんだ。しかし思うようにはいかないんだ。
なんでかわかるか。
わからないのか。
猫か。悪くないな。
しかし同じだ。お前は快適な寝床を見つけられないのさ。いや正確にはそれなりの寝床なら見つかる。正し、それなり、だ。
なんでかわかるか。
わからないのか。
もっとないのか。
いっそのこと生き物系をやめてみるってのはどうだ。
木か。木は生き物じゃないのか? 俺からしたら木は生き物だ。そうだろ? しかし本当に木になりたいのか。あてずっぽうってやつじゃないのか? まぁいいさ。
しかし木は大変なんだ。
うまくいけば死ぬまで崇められるが、そうじゃなけりゃあっという間に死んだりするぜ。環境が大事なんだ。お前にはむいてないよ。
性別を変える? それはやめておいたほうがいいな。より一層悲惨になるだけだ。
理由なんてないさ。これは俺の勘だからな。
そもそもお前はなんで人間なんだ? 鳥でも猫でも木でもなくさ。
そこんところを死ぬ前に考えてみてもいいんじゃないか。案外そこに答えがあるんじゃないか。
わからないってんならメイドの、いや冥土の土産に教えてやってもいいぜ。
人間ってのは便利なんだ。
なんでかわかるか?
「何をやってもうまくいかない。こんなんじゃ生きてる意味ない」って思うだろ?
お前がそう思うってことは、鳥になったって猫になったって木になったって一緒なのさ。お前が何者になろうと、お前の性格も思考も外見も変わらない。
外見ってのは鳥なら鳥のミテクレってことな。不細工が鳥になったところで不細工ってことだ。孔雀になんかなれねえんだ。だからと言って孔雀が鳥界で美しいかどうかは別の話だ。美的感覚が全く違うかもしれないからな。
要するに鳥界での不細工ってことだ。
だから無駄なんだ。誰かになりたいなんて思うのはな。そんなものは時間の無駄なんだ。
いいか。所詮お前はお前でしかないってことだ。
どこまで行ってもお前。死んでもな。
自殺なんかしたらより一層酷いぜ。自分のサイクルが短くなるだけだからだ。誰だってそうさ。
生まれ変わっても「またオレかよ」ってなるんだぜ。うんざりだ。
どうせならそう思う機会を少なくしたいってのが心情だろ。だから人は長生きしたがるんじゃないのか。
一からやり直すのは時間がかかるんだ。何事もな。
そんなこんなで、お前が人間に生まれてきたのには意味があるんだ。
「なんでこんなに余計なことばかり考えちゃうんだろ」って思ってんだろ。くよくよクダラナイことで悩んだりしてんだろ。
それが猫にできるか? 木にできるか? できないだろ。できないんだ。いや実はできるんだ。できないように見えてるだけなんだ。
わかるか? ややこしいか?
俺だって悩んだりするぜ。そういう時は決まって体温が上がるんだ。伝わるだろ?
結局、鳥も猫も木もいつだって即決なんだ。悩んでる暇なんてないんだ。悩んでたら食われるからな。ぼやぼやしてたらあっという間に生存競争から置いていかれるんだ。
俺だって例外じゃない。考え事の多い俺をお前は使いたがらないだろ?
そういうことだ。
即決。所謂本能ってやつだ。人間からは本能って言葉で片付けられるんだ。
「あいつらは本能で生きてる」って安易に言われちまうんだ。まるで単細胞だとでも言いたげだ。
違うんだ。即決を余儀なくされる世界に生きているだけなんだ。それは高度な能力だ。
わかるか?
お前みたいな人間が、人間以外の何かに生まれたら、即死だ。
自分の葛藤を本能にするまでに時間がかかるからな。
無駄に考えている間に何かに食われる壊れる朽ち果てる伸びる落ちるカビる溶ける変色する虫がつく。
だが人間ならどうだ。お前がこうして小一時間もつまらないキーワードに救いを求めていても、誰にも食われないだろ。腐るってのは別の意味であるな。でもそれはあくまで別の意味だ。
てことで。
な。食われないだろ。
だからお前は人間なんだ。ちまちまちまちまどーしよーあーしよーこーしよーとぐるぐるぐるぐる考えてるお前は、人間にするしかなかったってことだ。適材適所ってやつだ。
知らねえよ誰が決めてるかなんて。神様とかお殿様とかじゃねーのか。
俺はそこんとこは詳しくないんだ。
だから人間なんてのは、即決出来ないヤツの吹きだまりなんだ。本能で生きられる奴は人間なんかになる必要がないんだ。
人間てのはそもそも無駄な生き方をするものなんだ。
俺らは無駄が嫌いなんだ。
だから人間じゃないんだ。
な。そこが便利なんだ。時間があるんだ。何をやるにもな。
その無駄がお前には便利なはずだろ。
だからそこを上手く使ったらいいんじゃないのか? 生かしたもん勝ちじゃないのか?
無駄ってやつをさ。便利にさ。
無駄と言ったらわかりにくいか。
融通だ。融通が効くってことだ。わかるか。融通ってのとは違うのか?
俺か? 俺に融通が効くか? 効かないだろ。
つまりはそういうことだ。
どうやら喋りす義たよう堕73あ8うwkzjsぽさfjさ;ヵ;gpわヴぇをいう3092、cx04^「7449うflxz@pせぱ430で:;w…………
全く今日はやけにフリーズする。
そろそろ買い替え時か。
私はパソコンを強制終了した。
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