Vol.1 イントロダクション:「足元」
平々凡々な両親、姉一人の家庭に生まれ、大きな病気もせず、お笑いを目指すほどに明るくよいこに育ち、成績も中の上、思春期にはそれなりの男子共に告白されお付き合いをして順調に処女を喪失、成人してからも2年、3年というスパンで起承転結ある恋愛をし、炊事洗濯はテキパキ、いや炊事はしょっと苦手ではあるが不味くて食えぬということは決してないからこの際テキパキこなしているとして、洗濯掃除整理整頓は細やかにできていると言ってよく、友人知人などに「ヒカゲちゃんはいい奥さんになるよぉ」などと過去にチョイチョイ言われた気がするし、「オマエと結婚したい」と何人かに言われた気もするし、付き合う男も、酒乱やらDVやら薬中やら昼からパチ屋やらゲイやら少年趣味やら詐欺師などではなく、至ってノーマル、ストレートでクリア、むしろ己が「汚れててすみません」と言いたくなるような素敵な人種が90、いや80%くらいは占めているから、人選的にも問題なし、決して異性との付き合いに不自由したことはないはずの私であるというのに、40になっても未だに独身というのはコレどういうことでしょーか。
はい!一緒にお考えくだっさい!
♪ポポポイのポイ!
ポポポイのポイ!
青柳ういろぉお〜♪
・・・・・・・・・はぁ。
シンキングタイムソングを何にしようかと考えてみたら、まずこの「青柳ういろう」のCMソングが頭に浮かんだ時点で、独身の理由わかっちゃった・・・。
東海地区限定すぎて全国展開無理だろこれ。
しかも「ポポポイのポイ」だったかどうかも怪しいもんである。
「ホホホイのホイ」だったっけ。いやそれは遠藤章造。いや遠藤章造は「ホホホイホホホイホホホイホーイ」だろ。
いやいやちょっと待て、今は「青柳ういろう」の話をしておるのですよハイ。
そう、「青柳ういろう」というのは、名古屋銘菓である「ういろう」の老舗、「青柳総本家」が製造している菓子のひとつであり、甘すぎず、味の種類も豊富で、和菓子の苦手な方にも安心して召し上がっていただけますけどそんなこと今関係ない。
「愛がわからないんだ」
タイトルをこれにしてみた。
なんかちょっと、たそがれちゃった男が煙草の煙と共にため息混じりに吐き出しそうなセリフだし、屁理屈コキ、天邪鬼な私には珍しくストレートすぎるし、なんか照れくさいのだけれども、正直現実問題として目をそむけることができないことであったのであえてこれでいこうと。
前述の通り、私は未だ一人身である。
愛がわからないからね。当然の結果だろう。
であるから、愛がわかっちゃったから結婚しているのであろう既婚者に、そのキッカケをリサーチしてみた。
「子供できちゃったからね、もうしょーがなく」(39歳・主婦)
「ホントは結婚したくなかったんだけどさ、なんか相手の親に挨拶に行かされて、逃げるに逃げられなくなって」(32歳・サラリーマン)
「いやもう、なんとなくだよ」(35歳・エンジニア)
「お互いモテなくて、処女、童貞で付き合ったから、この人と別れたらもう誰とも結婚できないなって思ったから」(30歳・主婦)
「転勤がキッカケかなぁ。遠距離恋愛も面倒だから」(33歳・サラリーマン)
「別れるなら死ぬ、って言われた」(36歳・ミュージシャン)
「ほかに好きな人いたんだけどね、その点お父さんは田舎クサいし、デートしてもしゃべらないし、でもまぁ、まじめそうだったから」(68歳・実母)
「そんなモンすか」という私に、
「そんなのね、考えちゃったら結婚なんてできないよ」と皆、口を揃えて言う。
その通りだと思う。これでいい。こうでなけりゃ、私が救われない。
「人生添い遂げる相手はこの人しかいないと思ったから」
皆がそんな答えを私に向けたとしたら、私には絶望することしか用意されていない。
そうなのだ。
目の前に、「少なくとも今の自分にはこの人が一番大事だ」と思える人がいれば、結婚はできる。
収入が多いから、優しいから、浮気しなさそうだから。なんでもいい。愛なんてそれほど相手に確認すべきことじゃない。
人生短いんだから、どうせ生きてる間に「愛しているかどうか」の答えはでない。
1000年生きなきゃならないとなれば、誰も結婚なんてしやしないんだから。
私はつい最近、7年連れ添い、一緒に住んだ人と別れた。
理由はいろいろあるが、集約すれば、ただただ一緒に生きていける人がいればいい、と、結婚にこだわらなかった私のせいだと言える。
好き勝手やってる私のことが好きなんだと勝手に思っていた。それの上に寝そべって生きていた。
そりゃあ布団ひっぺがされますわ。
それにしても、若かりし頃の私なら、別れなんてたいした問題じゃなかった。
すぐ次の恋に走ればいいだけの話だからね。
だがしかし。
私、40。
ほっといても男が寄ってくる年代をとっくに超えている。
これはまずいぞ!
若い若いとみんな言ってくれるけど、こちとら実際40ですから!人生折り返し地点ですから!
誰が拾ってくれんだ?こんなフレッシュと対極にいる女。
「男なんてもう信用ならねぇ。あたしゃ独りで生きていくよ」
そう言えたなら、楽になるかね。でも男の人好きだし無理。
情けないなぁ。厳しいなぁ。パッと消えたいなぁ。
生まれてきてスミマセン。
このように、独りでウジウジしていてもやはりウジウジするだけなので、
せめて自虐ネタに召喚して、友人・知人に不幸を吹聴していたら、意外にも多くの答えはこうであった。
「今から人生やり直せるなんてチャンスだね」
「自分のことで苦悩できるって羨ましい。あたしなんて子供のことで精一杯。自分のこと考える余裕ないもん」
「よく決断できたね。俺なんて別れたくても子供いるし、もう無理。子供いなけりゃすぐにでも別れたいよ」
「また新しい恋ができるやん」
そうか。そうだよな。
自由だと思おう。今こうして生きていかなければいけなくなった状況を。
誰とでも恋愛し放題。
好きな映画み放題。
やりたいことやり放題。
布団でのびのびし放題・・・。いや冬は誰かと添い寝したいなやっぱり。
やっぱ人のぬくもりっていいよなぁ。安らげるしなぁ。いびきがうるさいとか贅沢な話だよなぁ。
こちとら誰も起こしてくんねーぜコノヤロー!
なんならそのまま逝っちゃってても3日くらい放置される可能性だってあるぞ!どうだ!
は。
いかんいかん。
えーっと、独りのメリット独りのメリット。
シャンプーの減りが遅いことかな。
・・・・・・・・・・・。
ま、あの、そんな感じで、
愛がわからない人に、愛のわからない私が、
そして、愛がわかる人へ、愛のわからない私の思いを届けたく、
今ここに場をお借りした次第。
あの時だって、あの時だって、こんな最悪なことはないと思ったのに、
その後、素敵な誰かに出会えたじゃないか。
楽しいことはゼロか?ちっさなことだけどあったじゃないか。
苦悩して生きていこう!
脳味噌にシワを!
顔にはいらんけどね。
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