当時はバイクの高速二人乗りは禁止だったので、北海道に渡るフェリーが出る青森県八戸まで
僕はバイクで、彼女は電車で(しかも新幹線は盛岡止まりだった)向かったのだった。
八戸を出たフェリーが苫小牧に着いたのは午前3時とかで、夜明けまで港近くの温泉ランドの
ベンチで仮眠。いきなり出だしから大変だっただろうな…。
そうして北海道内を、主に道東(牧場と森林ばかりのかなりの田舎である)を走り回ったのだけど、
この年は雨が多かった。全日程のうちカッパを着なかったのがわずか1日。
丸一日降らないにしても、どこかで雨に降られていた。
気温16度を表示している温度計を見かけた時もあったくらい、寒かったし。
ひとりで走っていたときのペースで、1日何時間も走り続けてしまった気もする。
もちろん訪れる先の広大な風景は、素敵で思い出深かったし、食べ物も美味かった。
でも慣れない旅でお互いにストレスもあったのかも知れない。理由は何だか覚えていないが
ケンカになることも何度かあった。一度は「飛行機で帰る!」「じゃあ最寄りの空港まで送る!」
なんてなったこともあったし。よく途中で帰らずに最後まで一緒に旅できたものだ(笑)。
最終的には予定の日程を終え、一緒に八戸行きのフェリーに乗ることができた。
そんなこんなで帰りもまた、高速と電車に分かれて東京に向かった道中。
僕は盛岡で友人と昼ごはんを食べてたこともあり、彼女の方が先に東京に着く流れになっていた。
途中、とあるパーキングで休憩したときに携帯を開いてみたら、彼女からメールが。
「帰ってからすぐに、教習所に申し込んだよ」
なんだってーーーーーーーー!!!!そんなこと、一言も言ってなかったのに…
つきあい始めからそれまで、二人乗りで色んなところに行ったけど、彼女も免許を取って
一緒にバイクで走るということは考えたことがなかったので、非常に驚いた。
そしてうれしかった。
今考えるとこのときが、ふたりで楽しむオートバイ・ライフの始まりだったのだ…。
東京に帰ってから聞いたところ、バイクの免許を取ろうと思った理由は
「後ろに乗っているよりも、自分で運転して走った方が楽しそうだから」
これぞバイク乗りへの第一歩。あっぱれ!
それから10年近く経ち、今やふたりともスポーツスターに乗っている。
現在までの間に、夫婦になった。
オートバイという存在がなかったら、どうなっていただろう。(なんて考えたこともなかったけど)
とにかく今、僕らにはスポーツスターというオートバイがある。
これからも、一緒に乗り続けるつもりだ。
つづく
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