俺にRolling Stonesを教えてくれた人。
俺にBluesを聴くなと言った人。
俺にエレキギターを教えてくれた人。
それが、田中 切ノ介(通称:キリさん)
あの頃の俺は酒を呑んでは、二日酔いでスタジオを遅刻したり、休んだり・・・
ある日、キリさん達のレベルについて行けなくて部屋でBluesのレコードを聴きながらバーボンをふてくされて呑んでた。
まだ皆スタジオのはずなのに早めに切り上げて俺の部屋へ乗り込んで来た。
「お前どうすんの?」
キリさんはおとなしい声で言った。
俺は何も言えずだんまり・・・
「とりあえず明日俺んち来い」
そう言って部屋を出て行った。
俺はとりあえずキリさんの家へ向かった。
もう辞めると言おうと思っていた。
家に着くとキリさんは、「おぅ!あがれよ」と明るい声。
「ギター買っちゃったよ!」とにこやかに俺に見せる。
「んでさ、新しい曲出来たから」と俺にギターを渡し弾き始める。
弾いていると「そこをさ、なんかリフ作って来てよ」
と俺に初めてBANDの仕事をくれた。
すごく、嬉しかった。物凄く嬉しかったんだ。
俺はキリさんのBANDでは新参者。
なんせ、LIVE活動バリバリにやってるBANDに入ったのだから。
それに気づいたのがこの時だった。
俺は、本当に馬鹿だった。
キリさんは、俺が辞めようとしてるのを解っていたのだろう。
それからは、一生懸命練習して追いつこうとしていた。
だが、俺が入って1年足らずで解散してしまった・・・
しかし、それからはエレキギターを弾きまくった。
俺と一緒にBANDやってる頃は、キリさんはタバコも酒もやらなかったんだ。
久々に会った時には、少量ではあるがタバコと酒をやっていた。
3年位した時いきなりキリさん入院したんだ。
病名「胃癌」・・・
だけど、俺会いに行かなかったんだ。戻ってくると思ってたから。戻って来ると
信じてた。
戻ってこなかった・・・・
27歳で
今、凄い後悔している。もっと話がしたかった。
ごめん、キリさん。だけどありがと、キリさん。
2005-2-2
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