再度、広告会社に入って 一番、言われた言葉が 「お前さ〜、新卒じゃないんだからさ〜」 だ。 仕事でミスをするたびに、この言葉を言われ続けた。 上司や、 取引先に。 確かに言われていることはわかる。 あくまで即戦力が欲しくて採用したのだから 仕事など出来て当然。 ばんばん、金を稼いでもらわないと困る。 しかし、はったりで入社した 僕にはそうも出来ない状況があった。 はっきり言って仕事の仕方が よくわからなかった。 本で得た知識はほとんど役に立たなかった。 最初に就職した求人広告会社で得たスキルも レベルが違いすぎて、ほとんど役だたなかった。 でも、まさか、面接の時に話したことは 全てはったりですとは口が裂けてもいえない。 僕はいつも 「えへへ、すいません。。。」 と情けない顔をするしかなかった。 そして、その後、死に者狂いで、わからなかったことを 調べあげた。 そしてどうにかこうにか目前の仕事をこなしていた。 毎日、もの凄い不安でほとんど眠れなかった。 あたり前だよね、思いっきりアマチュアが いきなりプロに混じって仕事しているんだもの。 ああ、恐ろしや。 では、どのくらい、はったりをかまして 入社したかといえば、これはもう酷いものだった。 先輩から 「これ、再校!」 と、渡されたポスターに対して、 「ほー、これが最高ですかー。 確かにいい出来ですねー。」 などと言うくらいだった。 ちなみにこの時の「再校!」とは 「再度、校正しろ!やりなおし!」の意味で。 決して、 「これ最高だぜ!お前も見てみ!」 ではない。 とにかくそんな、ひどい状況で 僕は東京の広告代理店で働いていた。 当然、かなり職場ではバカにされた。 でも、バカにされながらも、とにかく お金が貰えて飯が食えるのだから ありがたいことだ。ありがたいことだ。 と思っていた。 この時は。