学校を出て、プーをして、 一度、求人広告会社に入って、 一年で辞めてしまって、 そのあと地面を這いずるトカゲのように 色々な世界を見て、 辟易して、 辛酸をなめて、 ノイローゼになりそうになって、 犯罪者になりそうになって、 お金もなくなって、 夜、眠れなくなって 意味もなく深夜を徘徊したりして、 限界だ、とつぶやいたりして、 本当に限界が来たりして、 そんな挙句に誓った再生の第一歩として、 僕は再度、広告会社への就職を決めた。 勤務地は、東京は四谷3丁目という場所。 26才の秋の頃。 四谷3丁目。 ここはいい場所だった。 近くに荒木町という、いい感じの盛り場があって、 よく色々な著名人がお忍びで飲みにきていたりしていた。 僕はシチュエーションとか形に弱い。 いわゆる、かっこから入るタイプ。 だからこのかっこいい町をうろつける自分を、 勝手にかっこう良く思っていた。 仕事は広告代理店。 今度は主に企業のPRを担当する広告代理店。 広告代理店といっても、小さいので、 実質は制作プロダクションに近い。 すなわち自分で何でもやるという感じ。 最も汚い言葉で言えば、 電通とか、博報堂とか大きな代理店の奴隷。 彼らの指示に120パーセント従って、 彼らの手足となり24時間働く。 本当に24時間働く。 なぜなら、指示をする大代理店が24時間働くから。。。 入社したばかりの僕だったが、早速、仕事が割り振られた。 最初のクライアントは家電メーカーF。 しかしここからが、僕の本当のかけそばDAYSスタートだった。 正直に言ってしまって、 はったりでこの会社に入った僕は、 ここで信じられないくらいの失敗、 そして失態を繰り広げた。 そして、その失敗の数々で僕は本当に悔しい思いをした。 眠れぬ夜を過ごした。 そして若者にとってこの社会は地獄だ! と思うに至った。 会社組織からの呪縛から解き放たれた今となっては そんなこと思っていないが、 この頃は本当にそう思っていた。 殺意すらもつほどだった。