サチコという名前の女に惚れた男がいた。
名を相川という。
出会いはバイト先のチェーン居酒屋。
学生を辞め、その日暮らしの皿洗いのバイトをする相川と、
いつもサラリーマンでいっぱいの客席ホールで元気に客の注文をとってくるサチコ。
サチコは、普段、無口で、
生きるのがとても上手とは言えない無愛想な相川にも、
相川君は何か心配だ、何か心配だと、よく優しい笑顔を見せた。
相川も、サチコに心配されて、嫌な気分ではなかった。
ある日、店のバイト仲間同士数人で飲む機会があった。
飲み会にいって盛り上がる、カラオケにいって盛り上がる。
そういったノリにどうにもついていけない相川としては本当は行きたくなかった。
でも、サチコが行くなら。
飲み会は予想どおり、最悪だった。
よくもまあ、そんな、どうでもいい話題で盛り上がれるぜ。
|