そして、そういう時に現れる昔の友達というのは、 たいがいが、昔、僕が傷つけた人々のことが、多く、 このブルースの風が果てることなく吹きつづくと思うと、 やはり悲しい気持ちになる。
"なあ、俺、いい、女、見つけたんだよ。” 一緒に、キャバレーのボーイのバイトをしている、 ウラタが、いつもどおりの愛嬌のある笑顔で近づいてくる。 ボクシングをやっているので、たまに目を腫らしているが、 それも悪くはない。 ウラタがこう言う。 休憩の時にいつも行く、隣のゲームセンターで、 驚くほどイカシタ女が働きだしたらしい。
バイクに乗り、隅田川のほとり。 女はキスをして、 舌を入れて来なかった男は、 いままでで、僕が初めてだと、笑った。 少し恥ずかしかった。
ウラタは怒らなかった。 ちっ、なんだよ、それ。 と吐き捨てて、悲しげな顔をしていた。
君はつまらないよ。 三日後、 女は僕をふった。
そして、ウラタも女もいなくなった。
TEXT PHOTO / MIZUHO