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2004年 12月2日

「 怒れることの幸せ 」



インフルエンザの予防接種を受けに海浜病院へと行った。

うちの子供は卵のアレルギーがあるとのことなので近所の正岡クリニックではなく、大きな海浜病院へと行くこととなった。

なんでも大きな病院でないと、もしショック状態に陥った時に対処できないらしい。

(※インフルエンザには卵関係の要素があるらしい。)

そういうとても不安なことを頭に植え付けられ病院へと行った。

結果。

特に重大なこともなく、接種は終わった。

嬉しかった。

普通に注射を受けられる。

たったこれだけのことが、心の底から嬉しかった。

針を刺されて痛い思いをした息子には悪いけれども。




病院にはいろいろな親子がいた。

お母さんと子供というパターンが一番多い。

そして気のせいだろうか。

怒っているお母さんをよく見た。

それも相当激しく子供に対して怒っている。

当然、子供は大きな声で泣き叫んでいる。

お母さんは子供に負けじとさらに怒る。



どんなことに対して怒っているのだろう。

僕は耳をそばだててみた。

どうやら、子供はお母さんとの約束を破ったらしい。

約束が違うじゃない!

と子供に大して真っ赤な顔をしてどなっている。

いったい、どんな約束だったのだろう。

その日、来ている親子はほとんどインフルエンザの予防接種だろうから、子供とおとなしく注射を受ける約束でもしたのだろうか。

それを、破って痛い痛いと泣き叫んだ。

もしくは嫌だ嫌だと注射を拒んだ。

こんな感じの約束を破ったことで怒っているのだろうか。

真相はわからないけれども、僕は怒っている母親のことを不愉快に感じた。

その怒っている顔が子供よりも幼稚に見えた。

子供同士の喧嘩に見えた。



病院には色々な親子がいた。

何か障害を持つ子供を抱えたお母さんもいた。

その子供たちはとても静かだ。

ただ静かに時を見守っている。

まるで達観した大人のように。

そしてその子供を愛おしそうに、そして切なそうに見つめるお母さん。

きっと注射に対して泣き叫ぶこともなかったのだろう。

痛いということもなかったのだろう。

お母さん助けて!と甘えてくることもなかったろう。

ただ静かに時は過ぎたのだろう。



その近くで自分の感情を爆発させ子供に対して怒るお母さん。

注射で泣いたから、だだをこねたからという理由で今にも殴りかかんと怒るお母さん。

泣き叫ぶ子供。



その光景を見て、

怒ることが出来る幸せというものがあるよね。

それに気づけないのだろうか。

と隣の彼女がいった。



その通りだなと頷いた僕の背後では、

くわえタバコで子供をあやす母親。



下衆な顔をしている女だと思った。




ある日の我が家の風景。左はボス from三宅島。

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