うちの子供は、羊水を飲んだやらなんやらで
普通の子より退院が遅かった。
だから一ヶ月検診を迎えるのも他の子より少し遅くなった。
(遅くなったと言っても1〜2週間だけど・・・)
この一ヶ月検診を迎えるにあたり僕はとても緊張した。
なぜなら子供にどこか悪いところがあるような気が
してならなかったから。
出来ればこの検診のことを無視してしまいたいくらいだった。
しかしそうもいかない。
この国で住む以上、病院に行かざるをえない。
だから僕は本心では嫌だなと思いながら
緊張してその日を迎えた。
子供の体のことで心配だったことはいくつかあった。
まず一つ目は肥厚性幽門狭窄(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)
これは胃の出口のところが狭くなってしまい食物を通さなくなってしまう症状で治療するには手術をしなければならない。
うちの子供は飲んだミルクを戻してしまうことが多く(溢乳という)
医師にこの症状の疑いもあると言われていた。
そして二つ目は心臓。
これはたいした根拠はないんだけどなぜか心臓が弱いような気がしてしまった。
3つ目は耳。
この耳が一番心配だった。
耳の心配は彼女がしきり言うこの言葉
「呼びかけてもこっちを見てくれないよ…」
「あと、近くでドアがバタンを大きな音をしてしまっても反応しないし・・・」
にすっかり僕もやられていた。
僕は子供の耳の聞こえに全神経を尖らせながら日々を過ごした。
そして子供の反応に一喜一憂した。
死にもの狂いで子供の耳が聞こえていることを
信じたけれど、でも僕の中でも不安のパーセンテージは
日々増えていった。
その耳の聴こえの結果が一ヶ月検診の時に同時に知らされることになっていた。
今は便利な時代で産まれてすぐ、エコー検査かなんかで電波を
使って耳の機能が正常かどうかわかるらしい。
その結果がついに出る。
僕はこの耳に関してだけは、本当に大丈夫であることを祈った。
他の例えば手術すれば直るようなものであれば、僕は耐えられる。
でも、耳が聞こえないという状況には僕は耐えられないだろうと思った。
耳や目というコミュニケートするために不可欠な
ものに問題がある場合、一体僕はどうやって子供と対峙して
ゆけばいいのか不安でたまらなかった。
そんなことを考えている時に
子供はくしゃみをした彼女のほうにわずかに反応した。
きっときっと大丈夫だと信じた。
…つづく
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