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生後3週間
僕を、そして彼女を悩ますものがあった。
それは溢乳。
簡単に言うと溢乳とは飲んだミルクを吐き戻してしまうこと。
この溢乳が僕の子供には多いみたいだった。
とにかくよく吐く。
戻す。
飲んだあとしばらくして落ち着いたかなーと思うと
大体突如「ブバッ！」とやる。
これにはまいった。
吐いたことに気づかないと子供が窒息してしまうこともある。
だから本当に心配した。
そして眠れなかった。
ミルクのペースは3時間。
3時間に一度飲まし、その1時間後くらいに突如「ブバッ！」
と吐く。
その「ブバッ！」を注意深く監視しなければならない。
だから当然寝ない。
眠れない。
あまりに吐くので心配になって調べてみた。
そうしたらこんな疑いが現れた。
肥厚性幽門狭窄（ひこうせいゆうもんきょうさくしょう）
これは胃袋の出口部分が肉厚になってしまい、
食物をスルーさせなくなる症状。
まさにこれなのではないかと思った。
本当にこれであるならば手術しなければならない。
お腹を切って胃袋の肉厚の部分を開かなければならない。
想像したくないことだった。
この溢乳をめぐって彼女と喧嘩になることもあった。
疲れてイライラした二人は些細なことでぶつかりやすくなっていた。
喧嘩の原因はよくわからなかった。
この時期僕は毎晩、眠る子供を抱いてソファーに座っていた。
ソファーに座り子供を抱いていれば、かなりの確率で吐くことを防げた。
とにかく僕は吐かせたくなかった。
吐くという行為を繰り返すと、吐いたミルクが耳に逆流し
滲出性中耳炎という症状にかなりの確率でなるということを
知っていた僕は、とにかく子供にミルクは吐かせたくなかった。
出来るならば子供を僕の体にだっこした状態で
縫い付けて欲しいくらいだった。
手塚治のブラックジャックにお願いしたいくらいだった。
そして子供が大きくなるまで、抱き続ける。
睡眠はソファーでとる。
そんなことを言う僕のことを彼女は
バカじゃないの…という目で見たが
実は僕はかなり本気だった。
…つづく
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