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>> シンフ ノ キモチ …(新父の気持ち)
<<
続く難産。
分娩室の中では外部スピーカーから、
まだ見ぬ子供の心臓音がこだましている。
その心臓音の様子を目安に出産は進行してゆく。
医師が表情に難色をしめしてから15分くらいたつ。
産道が細いのだろうか、子供は途中でとまった状態が続く。
こだまする心臓音が弱ってきているのが、
僕のような素人にもわかる。
心臓音がこのまま弱り続ければ簡単な話、死ぬ。
子供が死ぬ。
そして最悪、母子ともに死ぬ。
そんな中、医師は手にした銀色の器具を用い
彼女の中へと入ってゆく。
そして苦悶。
荒い呼吸。
出血。
「死」という言葉が頭をよぎった時、
僕はこれまでに感じたことのない身体感覚を持った。
それは、なんというか、
少年の時のいやいや感というか、
絶対的にどうしても否定したい気持ち。
何がどうさえぎろうとも、
誰が何と言おうと、嫌なものは嫌なんだー
と絶叫したいような気持ち。
もっとわかりやすく言えば、
子供の頃、自転車かなんかで本当に痛い
転び方をして、
そのあまりの痛さに生きていること自体、
嫌になってしまったような感じ。
その感覚が全身を襲い、その衝動が強すぎて、
体中のいたるところから噴出しようとする。
ありとあらゆるものに形を変えて噴出しようとする。
それは、吐き気であったり、嗚咽であったり、
汗であったり、涙であったり、
全身の筋肉の痙攣と硬直であったり・・・
でもその中でも一番、強い衝動は怒りだった。
結局、こういう結末を用意するのかという、
目に見えない何かへの怒りだった。
それは誰かが神とよぶものへの怒りだった。
最初、その感情は怒りではなかった。
哀れみを請うような祈りだった。
神とやらよ、もし存在するなら、もし存在するなら
勘弁してくれ・・・
頼むから勘弁してくれ・・・
俺の命をあげてもいい、だからこの結末だけは・・・
この結末だけは勘弁してくれ・・・
涙の溢れそうな目で分娩室の中空を見ながら
哀れむような顔をする感情だった。
でも、その感情は時間がたつとともに
子供の心臓音が低下するとともに、
彼女の出血量が増すたびに、
状況が悪くなるたびに、
次第に怒りの感情へと変わっていった。
極端に言えば、もし目の前で
この母子が死ぬのであれば、
俺はこの分娩室にいる人間、
そして全世界の人をみちづれにしてやろう
そして神とやらよ、
自然の法則とやらよ、
俺は必ずお前に復讐してやる。
狂気に近い怒りだった。
僕はその瞬間、確かに常軌を逸していた。
…つづく
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