20才の頃、ラブホテルでバイトした。
場所は埼玉県川越市の郊外。
内容は部屋の清掃。
学生だったけど、お金が良かったのでやった。
(それでも時給1000円)
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勤務は夜の8時くらいから朝まで。
清掃員の控え室みたいのがあって、
そこで清掃の合図を待つ。
控え室には全部屋の空きがわかるランプが
あってそのランプが点灯すれば
その部屋は空いたということになっていた。
そしてその合図を待ち
ランプがついたら掃除にゆく。
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掃除道具は特に何もなかった。
だってほとんど掃除しないから。
シーツだけは交換して、あとはその取り外したシーツで
色々なところをふくだけ。
もの凄くイージー。
一緒に働いていたやつはベッドでプロレスごっことかしてたりする。
とてもイージー。
不潔なシチュエーションもほとんどない。
まあ楽なバイト。
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色々な人が働いていた。
年老いたおじさんもいたし、
中年の主婦の方も多かった。
昼はサラリーマンで夜はここという人もいた。
皆、控え室でお茶を飲みながらよくタバコを吸っていた。
そして皆、なぜここで働くかを口にしていた。
その理由で憶えているのは、
「働けるうちに働かなくっちゃ」
というものだった。
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「働けるうちに働かなくっちゃ」
そう言いながらタバコをふかす。
そして決まって次に言うのが自分の家族の自慢だった。
自分の家族がどんなに有能でお金を稼いでいるかを
どことなくうつろな目で力説する。
そして皆あいづちをうつ。
すごく寂しい光景だった。。
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暇な時にやる事は二つあった。
一つは備品のカップラーメンを盗み食いすること。
そしてもう一つは部屋を覗くこと。
おそらく多分だけど、大体のラブホテルにはそこの従業員
だけが知っている覗きポイントがあるんじゃないかな。
おかげで僕はありとあらゆるカップルの様子を見させて
もらった。
(※もう時効ってことでお許しを・・・)
でも覗き穴の向こうに見える世界は不思議とあまり
いやらしくなかったのを憶えている。
それよりも滑稽。
笑える。
もの凄く女性のほうが強くて男がけちょんけちょんに
やられているシーンとか
男性のほうがなんとか女性をそういうムードに誘いたい
んだけど、全然うまくいかないとか。
千差万別のコメディーが繰り広げられていた。
そして僕はここで
ああ・・・SEXは女性に主導権があるものなのだな
と理解した。
どんなに男が上手く口説き落としたと思っていても、
それは女性の厳しい審査に通っただけで
基本的には男のほうが女に選ばれている。
そんなことを思いながら、
相変わらず控え室には寂しい空気が流れ、
部屋が空いたことをしめすランプがつく。
控え室にある小さなテレビではその当時、流行って
いたイカ天が流れ、
僕はそこで生まれて初めて「狂った朝日」を演奏する
BLANKEY JET CITYを見た。
なぜか忘れられない。
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