世の中には2種類の人間がいる。
あくまで僕の私見だが、それは
雇われて生きる人と、雇われないで生きる人。
広告会社に雇われの身だった僕は、この雇われない人というのに強烈に憧れた。
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広告業界には雇われない、いわゆるフリーランスという人がとても多い。
そしてそのフリーランサーたちは皆、大抵、とても魅力的だ。
自力で生きなければならないが故に、タフでもある。
会社員時代、そんなフリーランサーの人々たちと話す機会がけっこうあった。
そして僕はその先輩たちに会うたびに
「どうしてフリーなんですか?」
と率直に聞いた。
答えは色々あった。
「雇われるのが嫌いだから」
「固定給が嫌いだから」
「(自分が)わがままなのを知っているから」
「自然に・・・」
「いつのまにか・・・」
「休みたい時に休みたいから・・・」
「朝、弱いから・・・」
などなど。
その中で、もっとも僕の頭に残った理由はこれだった。
フリーのカメラマンが言った言葉だが
「頭を下げるのは自分が納得した相手だけにしたいから」
この言葉は僕にガーン!ときた。
そうだよ!
その通りだよ!
と僕は興奮したのを覚えている。
そしてそんなことをサラリと言った、そのカメラマンを僕は尊敬し、憧れた。
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そんな会社員時代、ある朝、上司に呼び出された。
おそるおそる行ってみると、どうやら僕が担当していた仕事に
トラブルが発生していたようだった。
仕事はその上司から引き継いだもので、
話をよくよく聞いてみると、トラブルの火種はその上司の引継ぎミスにあった。
しかし、今の担当は僕。
上司は巧妙に自分の責任を逃れた。
そして、すべての攻撃が僕に降り注いだ。
仕事の関係者すべてに土下座しなければならないような大きな事態となった。
「責任とれんのか!」と、さんざんなことを言われ続けた。
会社内でも、残業を拒否するなど目立った行為が多かったので、今だ!とばかりに集中砲火を浴びた。
頭を丸めろ!という奴までいた。
そんな中、ひたすら頭を地面にこすりつけながら、想っていたのは、カメラマンの発した言葉だった。
僕も自分の納得した相手に頭を下げられる身分になりたいと思った。
泣きながら思った。
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