生きるための日雇い日々は続いた。
そんななか、突然、大阪へ出張してくれないかという
話がわいた。
大規模なイベント設営のための運搬スタッフが
足りないという。
3泊4日
やりたくはないが受けた。
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仕事はふつうに辛い運搬仕事だった。
100キロくらいある、コンサート会場用の鉄筋を
二人組でえんえんと運ぶ。
相方は無口で無愛想なやつだった。
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一日目の仕事が終わり僕らは、派遣会社が
用意したという宿泊先へ向かった。
渡されていた地図には大阪西成という言葉があった。
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目的地へついた。
そして生まれて初めて見る光景に少しとまどった。
そこはいわゆるドヤ街と呼ばれる
日雇い労働者が集まる場所だった。
用意されていたのは、そこの簡易宿泊施設だった。
確か一泊2000円くらい。
その街では良いほうだったと思う。
とにかく経費削減して少しでもピンはねを多くという
人材派遣会社のやりそうなことだった。
僕はやつらの顔を思い浮かべながら、道路に唾を吐いた。
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宿泊施設の荷物を置き、僕はその町を見てみることにした。
玄関を出る時、フロントの人に
「荷物は持った?置いてゆくと盗られるよ。」
と忠告された。
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見事なまでに猥雑な街だった。
あらゆるところが、ゴミだらけ。
そこで職を失った人々がたむろする。
片手には大体、酒。
夕方の時点でもう完璧に酔っ払っている。
きっと朝から仕事がなくて飲んでいたのだろう。
路上で寝ている人も多かった。
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しばらく歩いていると、露天通りのようなところに出た。
名前の通り、皆、道端でなんかしらを売っている。
僕は興味深げに近づいていった。
売っているものは、だいたいは、その辺で落ちていた
のだろう家電品か何かだった。
その他には古雑誌。
そんな中、僕に衝撃を与える光景があった。
その露天の売り物はポラロイド写真。
最初、何が写っているのかわからなかったけど、
近づいてよく見てみたら、それは、
女性の写真だった。
それも局部も何もかもが
まる見えのアンダーグラウンドな女性の写真だった。
自分で撮影したのか。
ピントも何もあったものじゃない。
とにかくそんな写真をめちゃめちゃに並べている。
値段は一枚200円。
露天の主のことをを見てみる。
左腕に「義」という漢字の刺青。
さだまらない視線。
何本も空いたワンカップ大関。
写真が一枚売れれば、一本ワンカップを買える。
どん底。
泣きたいような恐怖心にかられたのを憶えている。
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