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  2007/10/31


 LIFE.29

 " 今一生さん フリーライター / エディター  "

〜 ライフインタビュー プライドワーク〜自分をつくる働き方〜 〜

by フリスタ編集長 MIZK 

今一生(コン・イッショウ)さん PROFILE

1965年生まれ。フリーライター&エディター。コピーライター。作詞家&ミュージシャン。1977年CreateMedia名義で企画編集した「日本一醜い親への手紙」3部作(メディアワークス)がベストセラーに。1999年「完全家出マニュアル」(同)を発表、「プチ家出」は流行語になった。「下流上等-キレない子が病む格差教育」(学事出版)、「生きちゃってるし、死なないし」「ゲストハウスに住もう!」(共に晶文社)「死ぬ自由という名の救い」「親より稼ぐネオニート」など著作多数。2007年春から東京大学で自主ゼミの講師も務めている。

公式WEBサイト http://www.createmedia.co.jp/

最新刊「
プライドワーク〜自分をつくる働き方〜
http://astore.amazon.co.jp/con-isshow-book-22



最新作”プライドワーク〜自分をつくる働き方〜”を上梓された今一生さん。長年にわたり家出、家族再生、自殺、ニート問題など常に社会の隅に追いやられる人々の姿を追ってきた氏に今までの悲喜こもごもなどをお聞きしてみたいと思い今回は御登場願いました。

また今さんが今一番、熱く語る”プライドワーク”とは? 仕事に対して誇りを持つことが難しくなってしまった現代に今さんが言いたいこととは!?そのあたりにも是非注目を!

フリースタイルライフが提唱する”自由型の人生”と限りなくリンクする今さんの”誇りある人生を!”のメッセージ。御気軽にご覧ください。 <
フリスタ編集長 MIZK>

2007/10/1 津田沼にて




◆◆◆◆◆ 

MIZK こんにちは。今さんのブログのタイトルにもあります「人は時に壁にぶつかる。でも、世界は広い。ふと視線をずらすだけで『想定外』の解決策があったりする。」こういう大切なことを言う大人が本当に少ないので僕は勝手にシンパシーを覚えて敬愛しています(笑)

今さんブログ↓


http://createmedia2007.blog88.fc2.com/


ところで今回の著作"プライドワーク"の内容ですが、これって実はとても過激で、今、流行とも言える"フリーターやニートのような弱者を救済しよう!"というものではなく、逆に”みんな!文化人やマスコミに騙されるな!流行が終われば誰も助けてくれやしないぞ!そんなことよりも自分の力で生きれるように準備しておくんだ!”って時代の流れに完全に反旗を翻しているじゃないですか。

人間にとってもっとも大事なのは”自ら稼ぐ力をつけること”、人間という存在は未来も過去も自ら"稼ぐ力"を持たないかぎり没落するのは当たり前。僕、この意見とまったく同じ考えの持ち主なんですよね。



今さん「うん、今回の本のあとがきにも書いたんだけど人間は”稼ぐ力をつけてこそ、人生を選べる”と思っているんだよね。だけど今は変なムーブメントがあって、文化人やマスコミとかが労働運動みたいなものを煽ってる。それに若者たちもおんぶしちゃってて結局のところお互いに依存関係になってしまっている。で、実際のところ問題は何も解決されていない。」

MIZK そんな、誤解され嫌われ者になってもかまわないという視点で書かれた今回の”プライドワーク” 凄く良い本だと僕は個人的に凄く思っています。まあ、その内容をもっと詳しく知りたいというかたには書店で買って読んでもらいましょう(笑) 装丁もすばらしく綺麗です。

最新刊「プライドワーク〜自分をつくる働き方〜
http://astore.amazon.co.jp/con-isshow-book-22


今さん「宣伝ありがとう(笑)」

MIZK 現代は仕事に対する誇りが凄く持ちにくい時代だと私は思っています。その象徴が僕は街にあふれる100円ショップや1000円の床屋。コストコストで人間の大切なものが置き去りにされてる。こういうことに対してどう思われますか?

今さん「同じ1000円でも意味のある1000円と意味のない1000円ってあるよね。昔、僕がライターの駆け出し時代、本当に魂の"た"の字もいれないどうでもいい文章を書き散らしてた。でも、そのかわりお金はたくさん貰えてたんだけど、でもそのうち僕の魂は死んでいったんだよね。

最後にはおかしくなってそしてテレクラ依存症になっちゃった。こういうことって今のもっと敏感な若い子にもあると思う。誇りのない仕事をしていると人間は狂うんだよね。そしてそれに慣れてしまうとさらに怖い。気がつくと取り返しのつかないことになってる。怖いと思っているうちが華なんだよね。」



MIZK 「テレクラ依存症?」

今さん「うん、テレクラ依存症。テレクラ、いわゆるダイヤルQ2だね。それなしでは一日も生きていられないんだ。耳が痛くなっても受話器を置くことができない。そのせいで何百万円も借金をつくっちゃった。」


MIZK それはまた珍しい依存症ですね。。

今さん「直そうと自助グループとかにも行ったんだけど、まわりがアルコールやドラッグの依存症の人ばかりで凄い白い目で見られた。その時のことは本当、なんだよ!差別すんなよ!って思った(笑)」




MIZK 今さんは過去を振り返ると早稲田大学をわずか3ヶ月で中退し、そこからしばらくフリーター生活をしているじゃないですか?その頃のお話をお聞かせください。

今さん「色々なバイトをずっとやっていたね。マックの夜間清掃とか道路清掃とか建築現場とか深夜の郵便局とか、でも全部自分にフィットしなかった。3〜4年くらいはそんな時期があったと思うよ。

そうこうしているうちに大学の同期とかが卒業、就職とかしはじめて危機感を感じて、それでかねてから興味のあった広告業界に飛び込んでみたら時代の後押しもあってかうまいこと潜りこめた。最初は営業補佐という職種だったんだけど。そのうち仕事を目で盗んで見よう見真似でコピーライターになった。」

MIZK では特に誰に何を学んだというわけはではないんですね?

今さん「うん、現場で憶えて言った。でもこの業界。そういう人が多いと思うよ。やる気さえあれば何とかなる。」

MIZK その後、約10年以上に渡って今さんは自殺とか、家族とか、凄く人間にとってデリケートな分野で活動されてきたじゃないですか。これは一体どういういきさつでそうなったのですか?

今さん「それも、もとはといえばテレクラ依存症がきっかけだよね。依存症になってみて、はじめてその辛さを知り、同時に出会っていったSEX依存症の人や自殺未遂を繰り返す人々の辛さがわかった。いわゆるAC(アダルトチルドレン)と呼ばれる人々のことだけど、その頃はそういうACの人々のことが驚くくらい世間に理解されていなかった。だから自分がそれを世間に知らせようと思ったんだよね。」

MIZK そういう最も難しい分野にいかれると他の仕事に支障が出ませんでしたか?

今さん「その頃はどうでもいい商品広告の仕事とか、魂の入ってない仕事がほとほと嫌になっていてね。そういう意味でもこの依存症の世界には意義があると思った。普通の広告の仕事をしていればね、そりゃお金はたくさん入ってくるんだけど、しかしこれが僕の本当にやるべき仕事か?ってずっと疑問だった。だからもうその頃は他の仕事はほとんど辞めちゃった。そのおかげで当然と言えば当然なんだけど、凄く貧乏になった。今も本当、貧乏。でも、なんとかなるでしょという感じで毎日生きてる。」


MIZK どうしてそこまで自分を犠牲にされたんですか?

今さん「簡単に言うと、自殺とか依存症とか、そういう人々の世界をちゃんと理解するには、それこそ膨大な時間が必要なんだ。それに、僕は出会った人たちの力にもちゃんとなりたかったから、仕事もプライベートも関係なくつきあう。そういうことをやって初めて何かが見えてくる。

大マスコミの記者みたいに、1時間くらい取材してわかったような顔が出来る世界じゃないんだ。だから今だにそうなんだけど、ニートとかフリーター問題をただ飯のたねにしている一部のマスコミには怒りを感じる。本当に心配して憂いているんだったら、まずお前が友達になってどうにかしてやれよ!って思う。そんなことサラサラないくせに、さも心配そうな顔をする。これは本当に欺瞞だと思うね。無責任だよね。」

MIZK その活動の中で誤解されたり、誹謗中傷を受けたりしたことは?

今さん「たくさん、ありましたよ。本当にデリケートな分野ですからね。色々言われたましたよ。ひどいこともね。」

MIZK そんな普通の人であれば、すぐにでもギブアップしたくなる中、どうして今さんは揺らぐことなく進んでこれたのでしょう?実を言うと僕はそこに凄く興味があるんです。

今さん「多分ね。学生の頃の出来事にその理由がある気がするんだよね。うちの学校は凄く荒れていて喧嘩とかが日常茶飯事だった。そこで僕はいきがかり上、リーダーみたいになっていたからよく他校の番長とかとタイマンを張らされてた。

でも、これは今でこそ本音を言うけど凄く恐ろしくてね、いつも震えてた。でもやらなくちゃいけない。逃げるのもかっこ悪いし。そんな感じで何とかしてきた。その頃の恐怖にくらべると大人になってからのことというのはあまり怖くないんだよね。言葉で中傷されたりすることよりも、あの学生の頃の直接的な暴力のほうが圧倒的に怖かった。

だから自殺というデリケートな世界の中で僕は本当に誹謗中傷を受けてきたりしたけど、自分は当事者と向かいあってきちんとやって来たという嘘のない思いがあるんでね。こういうのが僕の中で揺るがない信念のベースなんでしょうね。」



MIZK これからの人生の展望などお聞かせください。

今さん「この10年間、自殺とかそういうデリケートなことを扱ってきたけれど、これからは人間が強く生き抜くためのもっと細分化されたこと、例えば人間関係だとか、あるいは仕事をどう作るかとか、具体的な方法論を提示してゆくスタンスにしたいと思ってます。

今回のプライドワークという本も"自尊心を手離さずにどうやって仕事してゆくか?"をテーマに書いたんだけど、こういう風に具体的な方法を今後は探ってゆきたいですね。

あと、長年の夢である音楽の分野にも力を入れたいと思っています。」

MIZK 今日はどうもありがとうございました。最後に一言。

今さん「何の根拠もないのに、この国や企業がこれからよくなるとは思わないほうがいいと思う。彼らは決して弱者のことになど興味ないし、状況はこれからもっともっと悪化してゆくと思う。それよりも多少、行儀悪くてもいいから、自分の好きにやったほうがいいと思う。考えてみたら皆がいい子でいなきゃいけない理由なんかどこにもないじゃない。

自分の生きがいを満たし、なおかつ社会から認められる生き方=働き方はきっとある。既にそれを実践している先輩たちもたくさんいる。”稼ぐ力”をつけてこそ、この社会を自由に生きられる。自分の人生を選択できる。これは事実だと思うんだよね。

それに、やっぱり人間はつねに一人で自分の無力なところとかダメなところを見つめていかないと。ダメならダメでダメを売りにする方法だって人生にはあるんだし。集団の中でぬくぬくするより、一人で試行錯誤しながら自分のことを見つめる。これが現代の人間にとってやっぱり一番大事なことだと思う。 」






***



>>>インタビューを終えて

ふとしたことがきっかけで知り合った今さん。雑誌などで前から今さんのことは見ていたが、実際お会いすることが出来るとは世の中は狭い。アンド、面白い。



文中にも書いたけど今さんは普通の人が恐れるところを、決してひるむことなく自分を信じてつき進む。その姿に僕は前々からすごいなあと思って勇気をもらっていた。そして単純にこう思った?どうしてこの人はそんなことが出来るのだろう?

今回は実はそのことがお聞きしたくて、お会いしたい旨を伝えた。
お礼はランチを奢るということで。(※フリスタのギャラは基本、酒か飯(笑))

昼下がりのファミレスでランチをとりながらの一時。これからの展望を語る今さんのアグレッシブさが印象的だった。そしてそこには確かにプライドがあった。





<フリスタ編集長MIZK>






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