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 LIFE.12 写真家 中里和人さん
by フリスタ編集 フォトノス金子




「写真家 中里和人さん」

中里和人さん プロフィール

(なかざと かつひと)1956年三重県生まれ。法政大学卒業後、1984年よりフリーランスカメラマン。会場探し、会場作りを自ら手掛け、町工場跡や市場、洞穴などでのユニークな写真展を精力的に開催。写真集「湾岸原野」(六興出版)、「小屋の肖像」(メディアファクトリー)、第15回写真の会賞受賞作「キリコの街」(ワイズ出版)、「逢魔が時」、「長屋迷路」(ピエブックス・文/中野純)、相模原写真新人賞受賞作「路地」(清流出版)、最新刊「夜旅」(河出書房新社・文/中野純)他


http://www.nakazato.info/



http://dc.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/12/27/2932.html
↑のページでも中里さんの作品を見ることができます。

◆◆◆◆◆

中里さんとの出会いは、ちょっとした偶然からだった。
以前から「小屋の肖像」(メディアファクトリー)や
路地(清流出版)など、何気ない日常の景色を独特の
視点で写し撮る作品に惹かれていたのだが、たまたま
知人の撮影を中里さんが担当される事になり、ぜひに
とお願いして、同行させて頂いたのがはじまりだ。

中里さんと人物撮影・・・
普段のテーマからちょっと想像がつかなかったのだが、被写体に丁寧に声をかけながら、ライカM6という
銀塩のカメラで淡々と撮っていく。
日本全国の小屋や路地の前で、同じようにライカを
構えながら佇むその姿が浮かんでくるような、静かな時間だった。

中里さんは、25歳の時に市民講座で写真に触れ、28
歳でカメラマンとして独立。

「日常の中にあるちょっと違った世界」をテーマに
最近は「夜旅」(河出書房新書)などで闇の世界に
ひそむ物を我々に見せてくれる。

また、雑誌日本カメラの月例コンテスト・スライド
部門の選者として、毎月約2000枚の投稿写真を審査
するという大変な仕事も引き受けている。

「墨東写真」という写真展の会場で、中里さんから
お話を伺った。


「小屋の肖像」
(メディアファクトリー)



路地(清流出版)


「夜旅」
(河出書房新書)



---金子「今回の写真は、向島ですか?」

中里 「そうです。ここは路地があちこちに張り巡らされていて、迷子になりそうな町なんですね。狭い路地の両側から機械の音が響いてきて、なんとも言えない味わいのある所です。向島に東京の幻風景を視ようとしたのが、新作「東亰」(とうけい)です。

東亰という呼び名は、江戸から明治になり京都に対し東の京という記号的な名称に反発した江戸っ子が、京に横棒を一本加え東亰(とうけい)として明治の初頭にかけて使われていたのですが、いつしか霧のように消え果ててしまいました。」


---金子「中里さんの闇の写真を見ると、真っ暗に見える夜の中にも、実はいろんな色があるというのに気が付いて驚くのですが。」

中里 「そうですね。闇といっても外灯や電飾、月の明りなど、夜を彩る光が混じり合って様々な色になっているわけです。それをフィルターなどは使わず、ストレートに撮影しています。」



---金子「中里さんは、作品にはフィルムを使っていますよね?あえてデジタルを使わないという理由は何かあるのですか?」

中里 「デジタルを避けているわけじゃなくて、今の自分の撮影スタイルが銀塩と合ってるんですね。銀塩の持つほどよいノイズ感、手触り感が自分の撮りたい物と馴染むんです。 デジタルだとノイズ感が除去されていますよね。フラットな感じがするというか。でも、またそのフラットな感じを生かした新たな可能性も感じているのは事実です。デジタルでも、また違った世界が写し撮れるかも 知れませんね。」


***

中里和人写真展「R」

写真集「R」出版記念

2006年7月29日(土)〜8月31日(木)
【 休館日:日曜・月曜・祝日・8月12日(土)〜16日(水)】
営業時間 11:00〜19:00 (最終日〜14:00)


中里和人スライドトークショー

「R 」ー二つのカーブが重なり、新たな感情を循環させる曲がった景色。ー

中里和人×吉野千枝子(日本カメラ編集者)

2006年8月5日(土)18:30〜(18:00〜受付開始)
先着40名様 入場料1500円(ワンドリンク付き)


 曲り道に出合うたび新たな気持ちがやって来る。懐かしい感情が呼び覚まされる。カーブの先で見えない世界に惹きよせられる。 その曲がり道が合わせ鏡のようにペアになった瞬間、全く別の景色が錬金術のように現われだす。 「R」はカーブした道のイニシャルであり、二つの曲り道を行き来しながら、重なり合った、真ん中景で「Reborn」の「R」でもある。

 曲り、隠れ、消え、トリップしながら再生を可能にする二本の道景色。いつまでも巡っていたい鏡のクニの循環景が日本にあった。

○写真集「R」(冬青社刊)7月25日出版予定

トークショー申込先

ギャラリー冬青
〒164-0011 東京都中野区中央5-18-20
TEL:03-3380-7123/FAX:03-3380-7121

E-mail: gallery@tosei-sha.jp

http://www.tosei-sha.jp/


***

中里さんとデジタル。
また新たな「日常の中にあるちょっと違った世界」を見せてもらえるのが楽しみだ。

ただ銀塩好みの自分としては、目には写らないけれど確実にフィルムには刻み込まれているであろう、あの独自の世界をこれからも見せて欲しい気がする。



2006-7-15 by フリスタ編集 フォトノス金子



http://www.fotonoss.com


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