2005年　7月某日

「　アリを殺す　」

日曜日だったかな。

確か選挙があった日。

彼女と子供と僕で3人で投票所に行った。

投票所は小学校。

選挙の時はいつも小学校に入れるので、何となく懐かしくて楽しい。

子供はもう走り回っていて、キャッキャッ言っている。

その傍らでは少年野球が行われていて、コーチが声を張り上げている。




この日は何か感慨深いものがあった。

なぜなら、子供がおそらく初めて殺生したから。




子供が歩いていたアリを、突然、無邪気に踏んで殺した。

正直ショックな光景だった。

アリはすこし苦しんだ後、死んだ。

僕はどうすれば良いかわからなくなった。

何かとても生生しいものを見た気がしてアワアワした。

自分の子供が他の生き物を殺す。

びっくりするくらいの衝撃があった。

とりあえず僕は、こんなことはしちゃダメだと言ってみた。

でも、理解してくれているかはやっぱり微妙。

そこから先、どうすればわからず、仕方なくそのアリを近くの花壇の土の上に置いてその場を後にした。




子供というのは無邪気で、そしてやっぱり残酷なんだね。

そう言えば僕も子供の頃はよく虫を殺した気がする。

そんなことすっかり忘れていたから驚いた。

そして

親としてこれから子供に何を教えられるか。

そういうステップに入ったんだということを理解した。




息子よ。これからは親の生き方が問われるんだね。


了解。

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