独立を決行した。 これで失敗したら死のうという心がまえで最後の独立を決行した。 というより、これでダメならもう僕の生きる場所はないな、 という思いで独立を決行した。 そんな28歳の春。 独立した人間に必要なもの。 それはまずは独立したことを示すあいさつ回りだ。 僕は早速、名刺をつくり行動した。 そして最初に悩んだこと。 それはネクタイをするかどうか。 会社員としてなら、ネクタイをしないなんて言語道断。 しかしあえて僕はネクタイを捨てた。 ネクタイをする人生はもう辞めることにした。 ネクタイなしで、 自分が選択した好きな服装で人と会う。 仕事の話をする。 たとえ金髪であろうと、実力があるから許される。 そういう人間になってやろうと決意した。 余談だが僕は独立してからずっと、ピアスをしている。 僕のピアスには意味がある。 これは自由の象徴だ。 実力の象徴だ。 自分の力で、自分で全責任を負う人間のみに許される行為だ。 だから僕はどんなに偉い人の前でもピアスを外さない。 同様にひげも生やかせている。 このひげも自由と実力の象徴だ。 ・・・・と、 独立の心がまえというのは、こういうものだよ、君! と意気込んで彼女にトークする居酒屋での僕のその時の月収は、たった3万円。 独立したというのに、たった3万円。 今、思うと気絶しそうなくらい頼りなげな一国一城の主だった。